学園怪談
私にはまるで助けを求めているかのように見えました。すごく悲しい感じがしたものです。
雨が止んだ後……私は何だかいたたまれない気持ちになって後で花を摘んできて供えました。別にお祓いとかが出来る訳でもないので、ただ黙とうを捧げるくらいしか出来ませんでしたけど。
　私が花を供えていると、学園長先生が丁度通りかかって私の姿を見つけ、一緒にお祈りをしました。その時、彼は話をしてくれました。
「ここにはね、人骨が埋められているんだ」
「人骨……ですか！」
「そう、戦後間もなく建てられたこの学校は非常に工事が難航した。当時の戦争で亡くなった墓をもてない身元不明の人たちの供養を兼ねて、ここに何十人という人の分の骨が人柱代わりに埋められている。」
「じゃあ、恨んでいるんでしょうか？　こんな墓標も何もない所に埋められて……」
「いや、そんなことはない。彼らは家族もなく、誰にも弔ってももらえなかった人たちだからね、この学校に手厚く供養されて、子ども達を見守れることはきっと嬉しいはずだ……」
　学園長先生はそう言うと、その場を歩き去ろうとしました。
　……私はその時、目を疑いました！　学園長先生が移動するのにあわせて、その人型のシミが着いていくかのようにスーッと移動したからです。
　そして、そのシミは校長先生に襲い掛かろうとしているように見えました。
「学園長先生！」
　思わず叫んだ私の声を聞いて振り返った彼を……なんと！　その影は飲み込んだんです。
　目の前の出来事が私は信じられず何度も目をこすってみましたが、そこには誰もいませんでした。壁に浮き出ていたシミも消えていました。代わりに、コンクリートの中から……白髪の混じった人間の頭髪が覗いていたんです。
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