学園怪談
第6話 『黒猫のレクイエム』 語り手 石田徹
一週目の最後を締めくくるのは最初に話した淳さんの双子のお兄さんの徹さんだ。
「よし、じゃあ俺の話をさせてもらうよ」
徹さんは組んだ足を解くと、両方の足を床に踏ん張るかのようにしてプルプルと立ち上がった。
「恐怖、人間狂牛病」
………………。
誰も笑わなかった。
「あの、徹さん話は?」
「ん、これだよ。ついにあのBCGが牛ではなく人間の脳みそをスポンジ状に……ああ、コワイ。学園で生徒が発病した。これだけで十分に怖い怪談じゃないかな?」
……何を考えているんだろうこの人は? これが学園の怪談か? それにBCGじゃなくてBSEだろうに。脳がスポンジ状っていう細かいとこはあっているのに……。
「お、おほん。では場が暖まったところで本題だ」
ようやく始まるようでホッと一息ついたところで、私は真面目に聞く姿勢をとった。
「おまえさん動物は好きかな? 俺は大好きだ」
聞いておいて答える隙も与えてくれない。
「でね、この学校に住み着いている黒猫いるじゃん。あの『モミ』とかいう名前のネコ」
私はふとたまに中庭で日向ぼっこして気持ちよさそうにしている、真っ黒な猫を思い出した。
「それでね、アイツは実は悪魔の使いなんだ。この学園の生徒を過去に何人も死においやっている」
……この学園では生徒の自殺っていうのも過去に何回かあったみたいなんだよね、それでね、そういう事件の現場ではほとんど猫のモミが確認されている。
俺の知っているだけでも3件。
まず一つ目は教室での首吊り事件。一階の教室で放課後、一人の女子学生が恋愛のもつれから自殺をした。その時、モミは彼女の教室のそばでずっと鳴いていたらしい。
二つ目。体育館で体育の時間にバスケットボールをやっていた男子生徒が、空中で他の生徒ともつれて床に頭から激しく落ちて死んだ時。この日、モミは何度も試合中にコートに入り込んではゲームを中断させている。
三つ目。これは最近だ、この間飛び降り自殺をした生徒がいたでしょ、ほら受験ノイローゼだとかって噂の女の子。屋上から彼女が落ちた後、屋上に残された上履きの片方が見当たらなかったそうなんだけど、後で他の先生に聞いた話だと、彼女が飛び降りたと思われる時間の直前、にモミが職員室に運んできていたらしい。
一週目の最後を締めくくるのは最初に話した淳さんの双子のお兄さんの徹さんだ。
「よし、じゃあ俺の話をさせてもらうよ」
徹さんは組んだ足を解くと、両方の足を床に踏ん張るかのようにしてプルプルと立ち上がった。
「恐怖、人間狂牛病」
………………。
誰も笑わなかった。
「あの、徹さん話は?」
「ん、これだよ。ついにあのBCGが牛ではなく人間の脳みそをスポンジ状に……ああ、コワイ。学園で生徒が発病した。これだけで十分に怖い怪談じゃないかな?」
……何を考えているんだろうこの人は? これが学園の怪談か? それにBCGじゃなくてBSEだろうに。脳がスポンジ状っていう細かいとこはあっているのに……。
「お、おほん。では場が暖まったところで本題だ」
ようやく始まるようでホッと一息ついたところで、私は真面目に聞く姿勢をとった。
「おまえさん動物は好きかな? 俺は大好きだ」
聞いておいて答える隙も与えてくれない。
「でね、この学校に住み着いている黒猫いるじゃん。あの『モミ』とかいう名前のネコ」
私はふとたまに中庭で日向ぼっこして気持ちよさそうにしている、真っ黒な猫を思い出した。
「それでね、アイツは実は悪魔の使いなんだ。この学園の生徒を過去に何人も死においやっている」
……この学園では生徒の自殺っていうのも過去に何回かあったみたいなんだよね、それでね、そういう事件の現場ではほとんど猫のモミが確認されている。
俺の知っているだけでも3件。
まず一つ目は教室での首吊り事件。一階の教室で放課後、一人の女子学生が恋愛のもつれから自殺をした。その時、モミは彼女の教室のそばでずっと鳴いていたらしい。
二つ目。体育館で体育の時間にバスケットボールをやっていた男子生徒が、空中で他の生徒ともつれて床に頭から激しく落ちて死んだ時。この日、モミは何度も試合中にコートに入り込んではゲームを中断させている。
三つ目。これは最近だ、この間飛び降り自殺をした生徒がいたでしょ、ほら受験ノイローゼだとかって噂の女の子。屋上から彼女が落ちた後、屋上に残された上履きの片方が見当たらなかったそうなんだけど、後で他の先生に聞いた話だと、彼女が飛び降りたと思われる時間の直前、にモミが職員室に運んできていたらしい。