学園怪談
『あら、こんにちは祥一郎君。何かいい事でもあったのかな?』
少し自分に対してお姉さん調に話すのが性に合っていたのか、祥一郎はいつの間にか精霊との会話を楽しむようになっていた。
「ああ、この間の期末テストの成績が上がったんだ。サクラがヤマを予想してくれたおかげだよ」
『そう、それは良かったわ』
桜の木の精霊だからサクラ……。いつからか祥一郎は精霊をそう呼ぶようになっていた。精霊も祥一郎の穏やかな人柄に安心しているのか、警戒することなく相談相手になってくれる。
サクラと毎日のように会話をすることで、祥一郎は女性に対する度胸のようなものもつき、少しずつだが逞しく成長していった。
「ありがとうサクラ。君のおかげで俺は変われた気がするよ」
祥一郎の言葉に、サクラは枝に腰掛けながら微笑んだ。
『ううん。祥一郎君が頑張ったんだよ。もっと頑張って素敵な男性になれたら私が彼女になってあげるわね』
「なに言ってるんだよ、まったく。精霊と人間が付き合える訳ないよ」
こんな軽い冗談さえもかわせる関係は、気づかないうちに、祥一郎にとって何よりも大切なものとなっていった。サクラの方も祥一郎に対して好意を持ってくれているような気がして、何だか恋人どうしになったような、そんな気さえしていた。
……そんな二人の関係が続き、2年生ももうすぐ終わりに近づこうとしたある日。
「……徳山君。わたしね、あの……その、あなたのことがね、す、好きなの……」
放課後、桜の木の前で、クラスメートの女子に呼び出された祥一郎は思いもかけない告白をされた。相手はクラスでも比較的おとなしく、とても可愛らしい印象の女の子で、男子からの人気も上々の子だった。
「あ、いや、あ、その……」
……ウブだねぇ。ま、あまりに突然の事だし、それに始めて告白されたんだから仕方ないかもしれないけどね。でも祥一郎にとってはチャンスだよね。まさか去年自分が他人に対してやったことが、今年自分に降りかかるとは思いもしなかっただろうしね。ああ、はいはい、ごめんよ。続きを話しますよ。
少し自分に対してお姉さん調に話すのが性に合っていたのか、祥一郎はいつの間にか精霊との会話を楽しむようになっていた。
「ああ、この間の期末テストの成績が上がったんだ。サクラがヤマを予想してくれたおかげだよ」
『そう、それは良かったわ』
桜の木の精霊だからサクラ……。いつからか祥一郎は精霊をそう呼ぶようになっていた。精霊も祥一郎の穏やかな人柄に安心しているのか、警戒することなく相談相手になってくれる。
サクラと毎日のように会話をすることで、祥一郎は女性に対する度胸のようなものもつき、少しずつだが逞しく成長していった。
「ありがとうサクラ。君のおかげで俺は変われた気がするよ」
祥一郎の言葉に、サクラは枝に腰掛けながら微笑んだ。
『ううん。祥一郎君が頑張ったんだよ。もっと頑張って素敵な男性になれたら私が彼女になってあげるわね』
「なに言ってるんだよ、まったく。精霊と人間が付き合える訳ないよ」
こんな軽い冗談さえもかわせる関係は、気づかないうちに、祥一郎にとって何よりも大切なものとなっていった。サクラの方も祥一郎に対して好意を持ってくれているような気がして、何だか恋人どうしになったような、そんな気さえしていた。
……そんな二人の関係が続き、2年生ももうすぐ終わりに近づこうとしたある日。
「……徳山君。わたしね、あの……その、あなたのことがね、す、好きなの……」
放課後、桜の木の前で、クラスメートの女子に呼び出された祥一郎は思いもかけない告白をされた。相手はクラスでも比較的おとなしく、とても可愛らしい印象の女の子で、男子からの人気も上々の子だった。
「あ、いや、あ、その……」
……ウブだねぇ。ま、あまりに突然の事だし、それに始めて告白されたんだから仕方ないかもしれないけどね。でも祥一郎にとってはチャンスだよね。まさか去年自分が他人に対してやったことが、今年自分に降りかかるとは思いもしなかっただろうしね。ああ、はいはい、ごめんよ。続きを話しますよ。