学園怪談
……そして、サクラを呼び続けてどれだけの時間が経っただろうか。桜の蕾がほころび始めた日の晩。ついに祥一郎の前にサクラが現れた。
「サ、サクラ……」
『……祥……一郎……君』
サクラは普段見る姿ではなかった。髪の毛はバサバサ、目は真っ赤に光り、透き通るはずの声はシワガレ、かもし出す気配が異常な殺気を放っていた。
しかし、それでも祥一郎は変わり果てたサクラを抱きしめて言った。
「ごめんサクラ。俺は俺は……俺は君のことが大好きなんだ! 好きで、好きで、たまらないんだ!」
実体がないはずなのに祥一郎に抱きしめられ、サクラは動きを止めた。それと同時にサクラの髪も、肌も、赤い目も、シワガレていた声も元通りになり、サクラも祥一郎の事をギュッと抱きしめた。
『来ちゃダメって言ったじゃない。私は精霊、あなたは人間。一緒になんてなれないって言ったでしょ?』
「嫌だ! 俺にはサクラが必要なんだ。もう、どうなってもいい。サクラと一緒にいたいんだ」
その言葉にサクラはギュッと祥一郎を抱きしめると、優しい顔で言った。
『……後悔しない? 私のことずっと愛してくれる?』
その潤んだ瞳に、祥一郎は迷うことなく、はっきりと頷いた。
『……わかったわ。ありがとう祥一郎君』
ヒュッ! ザクッ!
……次の瞬間、祥一郎の心臓を何かが貫いていた。
そして、彼の体はズルズルと桜の木の下に引きずりこまれるようにして消えた。
『……ありがとう祥一郎君。これで今年も立派なサクラが咲くわ』
……。
「桜の木の下に死体が埋まっているっていうのはよく聞く話しだけどね。この新座学園にも祥一郎の他にも数多くの死体が埋まっているっていう話だよ」
紫乃さんの話が終わった。
「養分としての愛か……」
能勢さんがつぶやき、誰にかは知らないがメールを送り始めた。
……桜の桃色の花びらは、白い花びらが血で薄く染まって出来た色だと言う人がいる。
私はこれから毎春、桜の花びらの美しさに潜む、サクラという名の精霊に怯えてしまいそうな気がした。
「サ、サクラ……」
『……祥……一郎……君』
サクラは普段見る姿ではなかった。髪の毛はバサバサ、目は真っ赤に光り、透き通るはずの声はシワガレ、かもし出す気配が異常な殺気を放っていた。
しかし、それでも祥一郎は変わり果てたサクラを抱きしめて言った。
「ごめんサクラ。俺は俺は……俺は君のことが大好きなんだ! 好きで、好きで、たまらないんだ!」
実体がないはずなのに祥一郎に抱きしめられ、サクラは動きを止めた。それと同時にサクラの髪も、肌も、赤い目も、シワガレていた声も元通りになり、サクラも祥一郎の事をギュッと抱きしめた。
『来ちゃダメって言ったじゃない。私は精霊、あなたは人間。一緒になんてなれないって言ったでしょ?』
「嫌だ! 俺にはサクラが必要なんだ。もう、どうなってもいい。サクラと一緒にいたいんだ」
その言葉にサクラはギュッと祥一郎を抱きしめると、優しい顔で言った。
『……後悔しない? 私のことずっと愛してくれる?』
その潤んだ瞳に、祥一郎は迷うことなく、はっきりと頷いた。
『……わかったわ。ありがとう祥一郎君』
ヒュッ! ザクッ!
……次の瞬間、祥一郎の心臓を何かが貫いていた。
そして、彼の体はズルズルと桜の木の下に引きずりこまれるようにして消えた。
『……ありがとう祥一郎君。これで今年も立派なサクラが咲くわ』
……。
「桜の木の下に死体が埋まっているっていうのはよく聞く話しだけどね。この新座学園にも祥一郎の他にも数多くの死体が埋まっているっていう話だよ」
紫乃さんの話が終わった。
「養分としての愛か……」
能勢さんがつぶやき、誰にかは知らないがメールを送り始めた。
……桜の桃色の花びらは、白い花びらが血で薄く染まって出来た色だと言う人がいる。
私はこれから毎春、桜の花びらの美しさに潜む、サクラという名の精霊に怯えてしまいそうな気がした。