学園怪談
仕事は順調。しかも、教師生活を通して書いたエッセイが出版社に取り上げられ、現役カリスマ教師としてテレビや雑誌にも登場した。新しい彼氏もでき、相手は青年実業家でIT業界の貴公子と噂される二枚目だったりもした。
「凄い! 凄いわ私って! 何もかも思いのままよ!」
美鈴先生は最初のうちこそマコトに毎日お菓子を届けていたものの、サクセスストーリーとともに、仕事やプライベートの時間に追われ、マコトの元へ訪問するのをサボるようになった。
「……高級なお菓子を大量に贈っとけばいいでしょ」
次第に回数が減るばかりではなく、自分で足を運ぶこともせず、宅配便や人づてで送るという方法をとるようになった。
始めのうちこそ心のどこかに罪悪感のようなものがあったが、それでも今の生活を続けているうちにマコトの存在を思い出すこともなくなっていった。
……そんな、幸せ絶頂の生活を送っていた美鈴先生だったが、ある日歩いていて頭に鳥のフンが落ちてくるという不運があった。
「きゃあ! 何よまったく、ツイてないわね!」
そして、その小さな不幸を皮切りに、少しずつ少しずつ不幸が訪れるようになった。
財布を落としてしまったり、高級車を盗まれたり、家に空き巣が入り込んだり、挙句の果てには交通事故で片足を骨折するといった事故まで起きた。
「何でこんなに不幸ばかり……はっ! そういえば……」
……そして、美鈴先生は気がついた。最後にマコトにお菓子を送ってからゆうに半年もの時間が流れていたことに……。
……マコトの存在を忘れていた美鈴先生は、お菓子を買い込むと、夜の神社へとやってきた。
辺りは静まり返り、誰かが潜んでいるような気配はなかった。
「マコト……いるの?」
お菓子の袋を両手いっぱいにぶら下げ、美鈴先生はバツが悪そうに本堂の中を覗いた。
「凄い! 凄いわ私って! 何もかも思いのままよ!」
美鈴先生は最初のうちこそマコトに毎日お菓子を届けていたものの、サクセスストーリーとともに、仕事やプライベートの時間に追われ、マコトの元へ訪問するのをサボるようになった。
「……高級なお菓子を大量に贈っとけばいいでしょ」
次第に回数が減るばかりではなく、自分で足を運ぶこともせず、宅配便や人づてで送るという方法をとるようになった。
始めのうちこそ心のどこかに罪悪感のようなものがあったが、それでも今の生活を続けているうちにマコトの存在を思い出すこともなくなっていった。
……そんな、幸せ絶頂の生活を送っていた美鈴先生だったが、ある日歩いていて頭に鳥のフンが落ちてくるという不運があった。
「きゃあ! 何よまったく、ツイてないわね!」
そして、その小さな不幸を皮切りに、少しずつ少しずつ不幸が訪れるようになった。
財布を落としてしまったり、高級車を盗まれたり、家に空き巣が入り込んだり、挙句の果てには交通事故で片足を骨折するといった事故まで起きた。
「何でこんなに不幸ばかり……はっ! そういえば……」
……そして、美鈴先生は気がついた。最後にマコトにお菓子を送ってからゆうに半年もの時間が流れていたことに……。
……マコトの存在を忘れていた美鈴先生は、お菓子を買い込むと、夜の神社へとやってきた。
辺りは静まり返り、誰かが潜んでいるような気配はなかった。
「マコト……いるの?」
お菓子の袋を両手いっぱいにぶら下げ、美鈴先生はバツが悪そうに本堂の中を覗いた。