学園怪談
……本堂の中、マコトの姿を探す。最後に見た時はもう大学生くらいの歳に見えた。しかし、お菓子の食べすぎか太っていて、見た目も可愛らしさがすっかり消えていた。
そして、本堂の隅に……誰かが膝を抱えてジッと座っていた。目の前にはお菓子の袋や包装紙の山。その山の方を向いたまま身動き一つとらずに佇んでいる。
「……マ、マコト? ……あの、お、お、お菓子持ってきたの……」
マコトと思われる人物は僅かばかり美鈴の声に反応したが、ほとんど動くこともせず、声も上げなかった。
「マコト……私……えっ!」
恐る恐る近づいて見た美鈴先生は唖然とした。暗くて近くで見なければわからなかったが、そこに座っているのはマコトの服を着た100歳を越えているような老人だった。
「う、うそ……。マコト、マコトなの? ねえ、ほら、お菓子よ。食べなさい!」
もはや、お菓子という言葉にも全く反応を示さなくなったマコト。
……マコトは長い期間放置されたこと。また、一つの場所に留まるというタブーを犯したために、座敷わらしから貧乏神へと姿を変えていた。これでもう美鈴先生に幸福を運ぶことはない。あとは生きている限り、美鈴先生に不幸を送るだけだ。
「……うそ、……うそよ、うそよおおおお!」
美鈴先生への不幸の返礼は、まだまだ始まったばかりだった……。
……。
「美鈴先生はその後、会社が倒産した彼の多額の借金を肩代わりさせられたらしい。その彼とも別れてしまい、学園も解雇され、住んでいた高級マンションも、車も、宝石類も全て差し押さえられてしまったんだって」
能勢さんの話が終わった。
私は人生の頂点から没落への急降下を聞き、あのまま座敷わらしにちゃんとお菓子を与え続けていたらどうなっていたかを想像していた……。
そして、本堂の隅に……誰かが膝を抱えてジッと座っていた。目の前にはお菓子の袋や包装紙の山。その山の方を向いたまま身動き一つとらずに佇んでいる。
「……マ、マコト? ……あの、お、お、お菓子持ってきたの……」
マコトと思われる人物は僅かばかり美鈴の声に反応したが、ほとんど動くこともせず、声も上げなかった。
「マコト……私……えっ!」
恐る恐る近づいて見た美鈴先生は唖然とした。暗くて近くで見なければわからなかったが、そこに座っているのはマコトの服を着た100歳を越えているような老人だった。
「う、うそ……。マコト、マコトなの? ねえ、ほら、お菓子よ。食べなさい!」
もはや、お菓子という言葉にも全く反応を示さなくなったマコト。
……マコトは長い期間放置されたこと。また、一つの場所に留まるというタブーを犯したために、座敷わらしから貧乏神へと姿を変えていた。これでもう美鈴先生に幸福を運ぶことはない。あとは生きている限り、美鈴先生に不幸を送るだけだ。
「……うそ、……うそよ、うそよおおおお!」
美鈴先生への不幸の返礼は、まだまだ始まったばかりだった……。
……。
「美鈴先生はその後、会社が倒産した彼の多額の借金を肩代わりさせられたらしい。その彼とも別れてしまい、学園も解雇され、住んでいた高級マンションも、車も、宝石類も全て差し押さえられてしまったんだって」
能勢さんの話が終わった。
私は人生の頂点から没落への急降下を聞き、あのまま座敷わらしにちゃんとお菓子を与え続けていたらどうなっていたかを想像していた……。