学園怪談
 ……でも合宿も最終日、よくある怪談を1年全員でやっていた。そして終わる頃には夜もすっかり遅くなっていて1時を回っていた。
 この後、ほとんどの奴はそのまま寝た。俺ももう寝ようと思って布団に横になると、隣の布団に寝ていた波多野が言うんだ。
「今からシャワーを浴びにいかないか?」
「夜の12時過ぎにはシャワーを浴びてはいけないって決まりだろ」
 俺はそう言ったけど、怪談や熱帯夜の影響か汗でびっしょりだったから、洗い流したい気持ちは確かにあった。
「俺も行きたい」
 と、もう一人、木村って奴も言い出したから、俺たちは内緒で3人でシャワーを浴びに行く事にした。
 怪談の後で気分が高揚していたのかもしれないな。それに3人もいれば怖くないっていう子どもじみた発想もあったんだと思う。
 でも、それが間違いのもとだった。
 ……シャアアアア。
 3人はそれぞれ別々のスペースに入り、カーテンを閉めてシャワーを使った。
「いやー、夜のこの時間にシャワーってのも気持ちいいもんだな」
 呑気に波多野が言い、木村もそれに同調する。
まあ、俺だってまんざらじゃなかったよ、でもね、やっぱり掟を破ってここにいること自体、すごく居心地が悪くて心配だった。
しばらくして、入り口のドアが開いて誰かが入ってきた音がした。
「やべ、先輩に見つかったのかな?」
「すいません。先輩、勝手なことしてしまって!」
ドアに近い木村、そして真ん中にいた波多野があやまったが、入ってきた人は何もしゃべらない。
< 27 / 235 >

この作品をシェア

pagetop