学園怪談
第15話 『さいころエンピツ』 語り手 山﨑大介
 
 次は大ちゃんさんの3話目だ。例によって運動部に関係する話だろうか?
「さて、次の話は勉強に関するお話だ」
 ありゃ、違ったようだ。
「みんなは勉強はしっかりやってるかな? 俺はまあ……運動は得意だけどちょっと勉強みたいにじっとしているのは苦手でね……でも学生の本分なんだし、やっぱりちゃんと頑張るにこしたことはないよね」
 大ちゃんさんと能勢さんは来年受験だ。そう考えたら受験生なのに怪談につき合わせてしまって、急に申し訳ないことをお願いしているような気持ちになった。
「みんなも受験のためにしっかりと勉強した方がいい。でもね、どうしても勉強が苦手なら逃げる手段だっていくつもある」
「一夜漬けもするけど……カンペとか使ったりもしてね」
 さらりと能勢さんが言う。
「ははは、良い子は真似しちゃダメだぞ。でもまあズルはなしとしても、どうしても分からない問題には『さいころエンピツ』を使う手もある」
 さいころエンピツ……誰もが一度はやる、角つきのエンピツの柄を削って選択肢の番号を書いて転がすアレだ。
「でも結局は運ですよね……アレって」
 私は自分でも小学生の時にやってみて、確率負けして酷い点数になってしまい母親にメチャクチャ叱られた苦い過去を思い出した。
「それがね……あるんだな、この新座学園には究極の『さいころエンピツ』がね」

 ……この学園の隣にある高田文具店。学園の生徒なら一度は訪れるあの店ね、あそこには色々な文房具がおいてあるけど、実はさいころエンピツだって売ってたりする。もちろんお店の人も冗談半分で売ってるんだけどね、5本セットで百円だから結構みんな遊び感覚で買ったりするやつも多い。
 でも最近ではシャーペンを使う奴が多いからエンピツを使わない人が多い。キミはちなみにエンピツ派かな? それともシャーペン派?
 俺はエンピツ派だね。やっぱりシャーペンだと芯がすぐに折れるからイライラするんだ。
 だから俺もさいころエンピツを買ったことがあるんだけど、この中におかしなものが入っていたんだ。
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