学園怪談
 ……。
「彼は誰かに助けてもらいたかったのかもしれないな。でも誰も菊田を救うことは出来なかった。俺はしばらくの間、自分のせいじゃないかとも思ってひどく落ち込んでしまったよ」
 大ちゃんさんは珍しく悲しい顔を見せた。
「それから、そのエンピツはどうなったんですか?」
 私は気分を変えてもらいたくて話をふった。
「ああ、いちおう捨てたよ教室のゴミ箱にね。でもね、その日の放課後にゴミを捨てるために焼却炉に行ったとき、そのエンピツは消えていた。誰かが拾って持っていってしまったんだ」
 確かに適切な答えを選んでくれるなら凄いことだ。宝くじだって当たるかもしれない。でも、物に頼ってしか生きていけず、最後に自殺してしまう程思いつめてしまってはどうにもならない気がした。
また同じような事件が起こらなければいいが……。

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