学園怪談
 ……仲良しグループは必ずって言っていい程できるよね、私の所属したグループはクラスの中でも大きい方だったの。私を入れて7人のグループでね、みんなで大学ノートを交換日記風にして回し読みするのが日課だった。順番は特に関係なくて、好きな時にノートを書く。ノートは教室の隅に置いてある、使われていないロッカーの中に入れられていた。私達7人しか知らない秘密の隠し場所だ。
 そして交換日記が何事もなく1ヶ月程続いたある日のこと……私は今度は自分が書こうと思い、家に持って帰って来ていた。
 まだ私は2回しか書いていなかった。7人で回していると、なかなか順番が回ってこないのだ。
 交換日記には色々な事が書かれていた。
『ペンネーム うさちゃん ……は~、テニス部の関根先輩って本当にカッコイイよね~。私、あの人に告白しよっかな~』
『ペンネーム もも ……私も関根先輩ってカッコイイと思う。むむ~、こんなとこにまでライバルが!』
『この間、2組の千恵が万引きして警察に突き出されたらしいよ~、なんでも高校生の彼氏と一緒にやってて、彼氏は一人だけ逃げたとかって』
「ふふ、みんな日記の中だからって好きなこと書いてるな~」
 好きなペンネームを使ったりもして交換日記は大いに盛り上がっていた。
「あ、綺麗な字……誰のだろう?」
 何人かはペンネームを使わずに書いている。ちなみに私もペンネームは使っていなかったが、極端なクセ字のために直ぐに分かってしまう。
 でも、私の目に止まった日記は丁寧に整った文字だった。文頭と文末に必ずつける星のマークが印象的だった。誰が書いたものなのかは、分からなかったけれど。日記の内容はシンプルだけど、みんなとの会話を楽しんでいる事がはっきりと見て取れる内容だった。
『この間、駅前のアーケード内でナイスな小物を見つけちゃった。リスのキーホールだーなんだけどね、超~かわいいんだよ』
『ペンネーム もも ……へ~、アーケードにそんなの売っているお店があるんだ、今度わたしも行ってみようかな』
『☆いいな~、私もリス大好き! 小学校の修学旅行で行った京都、奈良でもリスと触れ合えたからね~ペットに欲しいな~☆』
 何人かのコメントも付けられていて楽しい会話となっていた。
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