学園怪談
第17話 『雨漏り』 語り手 能勢雅亮
紫乃さんの話にしんみりしたところで、次の能勢さんの話が始まった。
「さて、じゃあ紫乃ちゃんには悪いけど、また怖い話に戻させてもらうよ」
能勢さんは立ち上がると天井を指差した。
みんな何事かと天井を見るが、別に何も変わった所は見られない。
「あ、あのお能勢さん、いったい何が?」
「よっく見てごらんよ。ほら、ここの天井の部分さ、他と少し色が違うでしょ」
能勢さんの指差す先を見ると、たしかに他の天井に比べて僅かばかりだが色が明るい。どうやらこの部分だけ塗装が新しいようだ。
「ここはね、半年ほど前に天井を削り取った所なんだよ。だから他の所に比べて塗装が新しいんだ」
「へ~、そうなんですか。でも何でまた削ったりしたんでしょうか?」
「それはね、ここの教室は1年前に、新たに改修工事された部屋であるということに秘密があったんだよ」
そう、この教室は1年前に確かに改修工事をして、部屋全体に防音設備を施した……ということは私も知っている。音楽室以外にも防音設備のある教室が欲しい、というコーラス部の要望から実現した教室だ。
「ところがね、この教室では事件があったんだよ」
……1年前に、コーラス部の希望が叶って、この教室は防音設備を施した新しい教室に生まれ変わった。しかし、それからしばらくし、この教室では雨漏りが起きるようになった。
……おかしくないかい? ここは1階の教室だ。上にはちゃんと別の教室だってあるんだよ、それなのに雨漏りをしているかのように水が垂れてくる。
ここを使っていたコーラス部の生徒が気づいて学園長に報告したらしいけど、雨は降っても2階の教室には雨漏りどころか、水一滴だって漏れてはいない。工事を担当した山川工業に聞いてみても、この壁には水道管も排水管も通っていないはずなので、原因は分からないということだった。
紫乃さんの話にしんみりしたところで、次の能勢さんの話が始まった。
「さて、じゃあ紫乃ちゃんには悪いけど、また怖い話に戻させてもらうよ」
能勢さんは立ち上がると天井を指差した。
みんな何事かと天井を見るが、別に何も変わった所は見られない。
「あ、あのお能勢さん、いったい何が?」
「よっく見てごらんよ。ほら、ここの天井の部分さ、他と少し色が違うでしょ」
能勢さんの指差す先を見ると、たしかに他の天井に比べて僅かばかりだが色が明るい。どうやらこの部分だけ塗装が新しいようだ。
「ここはね、半年ほど前に天井を削り取った所なんだよ。だから他の所に比べて塗装が新しいんだ」
「へ~、そうなんですか。でも何でまた削ったりしたんでしょうか?」
「それはね、ここの教室は1年前に、新たに改修工事された部屋であるということに秘密があったんだよ」
そう、この教室は1年前に確かに改修工事をして、部屋全体に防音設備を施した……ということは私も知っている。音楽室以外にも防音設備のある教室が欲しい、というコーラス部の要望から実現した教室だ。
「ところがね、この教室では事件があったんだよ」
……1年前に、コーラス部の希望が叶って、この教室は防音設備を施した新しい教室に生まれ変わった。しかし、それからしばらくし、この教室では雨漏りが起きるようになった。
……おかしくないかい? ここは1階の教室だ。上にはちゃんと別の教室だってあるんだよ、それなのに雨漏りをしているかのように水が垂れてくる。
ここを使っていたコーラス部の生徒が気づいて学園長に報告したらしいけど、雨は降っても2階の教室には雨漏りどころか、水一滴だって漏れてはいない。工事を担当した山川工業に聞いてみても、この壁には水道管も排水管も通っていないはずなので、原因は分からないということだった。