学園怪談
第3話 『可憐な純愛』 語り手 小野田紫乃
次に話してくれるのは女性だ。
「こんにちは、私は小野田紫乃。2年生よ。よろしくね」
紫乃さんはボーイッシュなスタイルと背が高いという理由から、後ろから見られると男性に間違われることが多いらしい。でも、正面から見ればいたずらっぽい瞳が愛らしい印象の女の子であることがはっきりと伺えた。
「私は美術室の絵のことをお話しするね」
……美術室には色々な絵が飾ってあるけどアナタはどの絵が一番好きかな?
私の大好きな絵はね、教室の端っこにかけてあるベンチに座る男女の絵かな。
あの絵はさ、枯葉散る秋のイチョウの並木道を背景に描かれていてとても物悲しいよね。でもそんな中で手をとりあってベンチに座る一組のカップル。とても幸せそうに描かれていて憧れちゃうのよ。あ~、私も素敵な恋愛がしたいな。
でもね、その絵に描かれている女の子はいいとして、男子の服装……あれってウチの学園の制服じゃない?
私も始めはビックリして虫眼鏡とかを使って見たんだ。そしたら小さくてわかりづらいんだけどウチの校章も書かれているように見えるの。
私は美術の黒田先生にその絵のことについて話を聞いたの、そうしたら凄く不思議な話を聞かせてくれたの。
もともとはあの絵は女性が一人だけ描かれた絵だったらしいの。
だからそれを聞いて、私は後から男の子が描かれたものだと思った。でもね、先生はこんなことを話してくれた。
昔、この学校の1年生でもの凄く身体の弱い男の子がいた。名前は……ごめん忘れちゃった。仕方ないから権兵衛君にしとこっか。……いいじゃん、なんでも。
で、その権兵衛君はね、いつもみんなからいじめられて、学校でも友達が全くいなかった。でもね、それで不登校になったり、欠席をしたりはしなかったんだよ。
なんでだと思う?
彼はね、1年の初めての美術の授業でこの教室にきた時、この絵を見て一目で絵の中の彼女に恋をしてしまった。
マンガのキャラを溺愛しちゃったりする人とかも珍しくない時代だし、私は別に何の偏見もないけどね、アナタはどうかな?
次に話してくれるのは女性だ。
「こんにちは、私は小野田紫乃。2年生よ。よろしくね」
紫乃さんはボーイッシュなスタイルと背が高いという理由から、後ろから見られると男性に間違われることが多いらしい。でも、正面から見ればいたずらっぽい瞳が愛らしい印象の女の子であることがはっきりと伺えた。
「私は美術室の絵のことをお話しするね」
……美術室には色々な絵が飾ってあるけどアナタはどの絵が一番好きかな?
私の大好きな絵はね、教室の端っこにかけてあるベンチに座る男女の絵かな。
あの絵はさ、枯葉散る秋のイチョウの並木道を背景に描かれていてとても物悲しいよね。でもそんな中で手をとりあってベンチに座る一組のカップル。とても幸せそうに描かれていて憧れちゃうのよ。あ~、私も素敵な恋愛がしたいな。
でもね、その絵に描かれている女の子はいいとして、男子の服装……あれってウチの学園の制服じゃない?
私も始めはビックリして虫眼鏡とかを使って見たんだ。そしたら小さくてわかりづらいんだけどウチの校章も書かれているように見えるの。
私は美術の黒田先生にその絵のことについて話を聞いたの、そうしたら凄く不思議な話を聞かせてくれたの。
もともとはあの絵は女性が一人だけ描かれた絵だったらしいの。
だからそれを聞いて、私は後から男の子が描かれたものだと思った。でもね、先生はこんなことを話してくれた。
昔、この学校の1年生でもの凄く身体の弱い男の子がいた。名前は……ごめん忘れちゃった。仕方ないから権兵衛君にしとこっか。……いいじゃん、なんでも。
で、その権兵衛君はね、いつもみんなからいじめられて、学校でも友達が全くいなかった。でもね、それで不登校になったり、欠席をしたりはしなかったんだよ。
なんでだと思う?
彼はね、1年の初めての美術の授業でこの教室にきた時、この絵を見て一目で絵の中の彼女に恋をしてしまった。
マンガのキャラを溺愛しちゃったりする人とかも珍しくない時代だし、私は別に何の偏見もないけどね、アナタはどうかな?