学園怪談
第19話 『心霊写真』 語り手 斎条弘子

 教室に戻ると、再び怪談は続けられた。
「さて、次は私の番ですね。みなさんコレを見てください」
 斎条さんはカバンから一枚の写真を取り出した。
 そこには駅の前でピースサインをする女子が二人映っていた。
「これが何か?」
 私の問いに、ニヤリと笑いながら斎条さんはインスタントカメラを取り出した。今流行のコンパクトカメラだ。オシャレなデザインと手軽な操作法、そしてその場でプリントアウトできることが受けて、私のクラスでも何人かは持っていたはずだ。
「この写真をよく見てください、ほら、ここのところです、わかりますか?」
 彼女の指差す先を皆で覗き込むと、駅の人ごみに紛れて空中に何やら顔のようなものが浮いているように見えた。
「これ、人の顔? もしかして心霊写真」
 紫乃さんは興味津々といった感じで写真を手に取る。
「でもさ、心霊写真ってさ、たまたまそう見えるだけとかいうことが多いらしいじゃん。怖い心理状況からそう見えるだけってさ」
 大ちゃんさんは胡散臭そうに写真を見る。
「本当の心霊写真ですよ!」
 ちょっと怒ったように斎条さんは口を尖らせた。
「私には心霊写真を撮る力があるみたいです。別に撮りたいわけじゃありませんが、カメラを構えると寄ってきてしまうんです。未練を伝えようとしているのか、単に目立ちたい幽霊なのかはわかりませんけど……次の私の話は心霊写真にまつわるお話をしますね」

 ……。
 この写真の女の子……妙子、ゆかり……は、私といつも行動している仲良しグループなんです。先週の日曜日のことでした、3人でいつものように町で遊んでいてカラオケをしていたんです。
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