学園怪談
 ……あ、中学生なのにカラオケに行っていた事は先生には内緒にしておいてくださいね。
 それで、カラオケの部屋の中で写真を撮ったんです。そうしたら……ピースする二人の脇にうっすらと人影のようなものが映っていたんです。
「きゃあ、何コレ~」
「気持ち悪いな~、心霊写真なんて。ほら、でもこの顔、タエったら死んでるみたいに元気ないよ。」
 妙子とゆかりは怖さ半分、面白さ半分といった感じで写真を見た後、再びカラオケに熱中していました。
 でも私は写真の事が気になってしまい、もうカラオケどころではありませんでした。
「弘子~、もう一枚写真とってよ、イエーイ!」
 カシャッ。
 私は友人達に言われるまま、シャッターを押しました。
「あっ!」
 出来上がった写真を見て私は思わず声を上げてしまいました。
 写真に写った二人のうち、妙子の方にさっきの人影のようなものが巻き付いていたのです。それはもうはっきりと人の形に見えましたが、白く透けていて明らかに異質なものであることが感じられました。
 私はその写真を二人に見られないように隠しました。そして胸騒ぎを振り払おうとカラオケに熱中しました。
「あ~、のど渇いた、もう死にそう」 
カラオケが終わって外に出ると、ゆかりは買ったコーラを一気に飲み干した。
「……っ、く……」
そして、ゆかりの隣で妙子は頭痛を訴えました。何か息苦しくて頭が締め付けられているような感じがすると言いました。
「大丈夫タエ? 死にそうじゃん。 頑張ってよ」
 ゆかりと私は彼女が心配になりましたが、彼女は気丈に言いました。
「大丈夫、たぶんカラオケでちょっと酸欠になっただけだよ、心配しないで」
 その後、近くのCDショップや、本屋によりましたが、妙子の具合はどんどん悪くなっていきました。
「大丈夫? 風邪でもひいたのかな?」
「うん……。今日はもう帰ろうか」
 妙子もさすがに体調不良が気になったのか、引き上げる決心をしました。
 それから3日間、妙子は学校を休みました。理由は風邪ということでしたが、噂では原因不明の病気だという噂も流れ、私は心配になって彼女の家にゆかりと一緒にお見舞いに行きました。
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