学園怪談
 妙子はベッドに横になっていましたが、3日ぶりの彼女の顔は酷くやつれて別人のようでした。体はすっかり衰弱しており、5キロは痩せてしまったんじゃないでしょうか。
「医者に見せたんだけどね……まったく原因不明だって言うんだ」
 すっかり元気を失くした妙子に、ゆかりは涙を流していた。
「このまま死んじゃうんじゃないでしょうね! そんなの嫌だよタエ!」
「もしかして……」
 私は、写真のことが気になったので、妙子の顔を映さない条件で写真を1枚撮らせてもらいました。
すると……!
写真には無数の人魂のようなものが飛来しており、彼女の体を取り巻く人影の数は4、5人にもなっていました。そして、彼らは妙子の体を取り合うかのように囲み、手を差し伸べていました。しかし、隣に映っているゆかりには何の影もついてはいません。
「こ、これは!」
 それを見て、私は確信しました。妙子は病気ではなく、霊によってとり殺されようとしていることに。
 すぐに私は近くのお寺の住職に写真を見せました。住職は全てを理解したようで、急いで妙子の家にお祓いにむかいました……。
 それからしばらくして、妙子は元気になりました。写真を撮っても、もう彼女の周りに霊が集まる事はありませんでした。後から住職に聞かされた話で、謎が解けました。
誰しも一度くらいは『言霊』っていう言葉を聞いたことがあると思います。ただの言葉でも繰り返すことで力を持ってしまうというものですが、ゆかりは何かにつけて『死』という言葉を口癖にする子でした。彼女の『死』という言葉は何十回
何百回と繰り返されるうちに『言霊』として力を持ってしまったのです。そのため霊が反応して妙子を取り殺そうとしたんです。

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