学園怪談
第21話~26話
第21話 『時を駆ける少年』 語り手 石田淳
話もいよいよ4週目だ。もうだいぶ慣れてきたものの、次から次へと続く怪談には興味を引かれずにはいられない。
「じゃあ、また僕の番だね。学園には生徒、先生以外の人が訪れることもあるんだ。今回の話はそんな学園外からの人物が原因で起こった事件について話すね。
……。
雨の日になると『カードおじさん』っていう人を知っているかな? この学園独特の人らしいんだけど、この人はテレホンカード、クオカード、図書カードだけでなく、トランプや花札にいたるまでおよそカードと呼ばれる全てを販売するおじさんだ。たまにしか現れないし、みんなもそれほどカード類で欲しいものなんてないので、あまり相手にする生徒はいないけどね。
学園側も、彼が生徒に何か危害を加えることもなければ、毎日のように現れるわけでもないので特に気にしていない様子だった。
でも、そんなある日の朝……。
「石田君。俺、凄いカードを手に入れたよ!」
そう興奮気味に話しかけてきたのは同じクラスの後ろの席の小久保君だった。彼は僕がクラスで喋ることのできる数少ない友人の一人だった。
始業までまだ30分あるせいか、教室内はまだ人気が少なく、僕らの他には数人の女子しかいない。
「どうしたの慌てて、何のカード?」
「それがさ、例のカードおじさんから、凄いカードを買ったんだ」
そう言って小久保君はポケットから一枚のカードを取り出した。
プラスチックのカードだった。両面とも漆黒のなか、片面だけ中央に残された白いスペースが印象的だった。
「これは?」
「これはね『時を戻すカード』だってさ」
僕は彼が何を言っているのか分からなかった。何かサギまがいの商品を売りつけられたのではないかと、一瞬だけ彼を心配もした。
「嘘じゃないんだよ、買った後、実際に試してみたんだ。この白いスペースに油性マジックで戻りたい時間を書いて強く叩くんだ。そうすれば望みどおりに時間を戻すことが出来る」
話もいよいよ4週目だ。もうだいぶ慣れてきたものの、次から次へと続く怪談には興味を引かれずにはいられない。
「じゃあ、また僕の番だね。学園には生徒、先生以外の人が訪れることもあるんだ。今回の話はそんな学園外からの人物が原因で起こった事件について話すね。
……。
雨の日になると『カードおじさん』っていう人を知っているかな? この学園独特の人らしいんだけど、この人はテレホンカード、クオカード、図書カードだけでなく、トランプや花札にいたるまでおよそカードと呼ばれる全てを販売するおじさんだ。たまにしか現れないし、みんなもそれほどカード類で欲しいものなんてないので、あまり相手にする生徒はいないけどね。
学園側も、彼が生徒に何か危害を加えることもなければ、毎日のように現れるわけでもないので特に気にしていない様子だった。
でも、そんなある日の朝……。
「石田君。俺、凄いカードを手に入れたよ!」
そう興奮気味に話しかけてきたのは同じクラスの後ろの席の小久保君だった。彼は僕がクラスで喋ることのできる数少ない友人の一人だった。
始業までまだ30分あるせいか、教室内はまだ人気が少なく、僕らの他には数人の女子しかいない。
「どうしたの慌てて、何のカード?」
「それがさ、例のカードおじさんから、凄いカードを買ったんだ」
そう言って小久保君はポケットから一枚のカードを取り出した。
プラスチックのカードだった。両面とも漆黒のなか、片面だけ中央に残された白いスペースが印象的だった。
「これは?」
「これはね『時を戻すカード』だってさ」
僕は彼が何を言っているのか分からなかった。何かサギまがいの商品を売りつけられたのではないかと、一瞬だけ彼を心配もした。
「嘘じゃないんだよ、買った後、実際に試してみたんだ。この白いスペースに油性マジックで戻りたい時間を書いて強く叩くんだ。そうすれば望みどおりに時間を戻すことが出来る」