学園怪談
第22話 『伝染病』 語り手 山﨑大介

 さて、次は大ちゃんさんの番だ。
「今度の俺の話は過去に学園内で流行ったことのある伝染病の話」
 伝染病と言えばインフルエンザとか、コレラとか、ペストとかかな? 私の頭の中に聞いた事のある有名な病名が上がるが、大ちゃんさんの話は、それらとは大きく種類の異なるもののようだ。
「この伝染病の特徴はね、病気の人は誰かに伝染すことで治すことが出来るんだ。ただし、伝染された人はどんどん病気が酷くなってしまう。自分が助かる為に誰かを犠牲にするしかない……そんな、もの凄く残酷な病気なんだ」

 ……この病気が学園内をパニックに陥れたのは今から40年程前の事だった。
「おい志村、お前その腕どうしたんだ?」
 あるクラスで、樋口という男子生徒が、クラスメイトの志村の腕に奇妙なミミズ腫れを見つけたことが事の発端だった。
「あれ、なんだこの腫れは。いつのまにか虫にでも刺されたのかな……」
 最初のうちは特に気にしていなかったが、何日か経った後、治るどころか1日ごとにミミズ腫れが一つずつ増えていくのがわかった。それは小さなミミズ腫れで特に傷みなどは感じない。ただ、時折その部分が痒くなることがあり、そのもどかしさが苦痛に感じることもしばしばだった。
< 91 / 235 >

この作品をシェア

pagetop