君が生きていれば、それだけで良かった。
病院に留まることは、私の身体を前にする人々を見なくてはいけないということだ。それから逃げた。死にぞこなっているくせに。

 一番恐ろしいのは、私の意識が戻ることだ。

 それだけが怖い。生きて戻って、死に直すことが出来るか分からない。

 私の意識があの身体へ戻っても、目を覚ましてそのまま死ぬことが出来るか分からない。意識だけ身体に宿り、動かせないままかもしれない。

 救急車に運ばれる間、お医者さんや看護師さんが懸命に治療してくれたのは分かるけれど、それでも死にたかった。
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