君が生きていれば、それだけで良かった。

 死ぬべきだった。

 炎上は続いている。私を叩く声だって、死ねてないのだから納まるはずがない。

「もうすぐ到着ですよ!」

 縁川天晴がこっそり声をかけてくる。

 夢に、自殺に──唯一無二の、私の居場所。

 私はいつも、あともう少しのところで目的地にたどり着けない。

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