君が生きていれば、それだけで良かった。
「全部、私のせい……」
縁川天晴はこれから、私が自殺したことを絡めていじめられる。
現に彼の立場はいいものじゃない。私がきっかけで加速する。
現にそれまで無反応だった彼が、私の話題を出したとき反応したのを見て、彼らは喜んでいた。
私が、責任を取らないと。私が何とかしないと。何か、この状況を変えるためのきっかけを──、
「……ねぇ、髪切ってみない?」
今日ずっと沈黙を貫いていた縁川天晴を見ていたけれど、顔立ちはきれいだ。
女子を味方につければ、少なくとも今の環境よりは良くなる。それに、彼をいじめていた男子生徒は三名ほど、他は無関心だった。縁川天晴が変わり表立って見方をする人間が増えれば、がらりと変わる可能性がある。
アイドルにはなれないかもしれないけど、人は磨けば必ず光る。誰だって。
「俺、今そんなに駄目ですか」
私を見て、自分の髪の毛が良くないと誤解した縁川天晴は、自分の髪の毛を両手で掴みながらこちらを見た。