彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
次の日曜日、
またテレビゲームで健斗に負け悔しくて、プリプリしながらかわいい康ちゃんに癒やしてもらおうと一人で階段を降りていくとなんとリビングにおじさまと将和さんがいた。
「やあ、麻由子ちゃん。また健斗に負けたのかい?」
おじさまが柔和な笑顔をみせて笑う。
おじさまの向かいに座る将和さんも口元に笑みを湛えていた。
「えーっと、・・・もしかしてここまで聞こえてました?」
「うん、ごめんね。楽しそうな声がね」
ああ、失敗した。
今日は休日で大事なお客様が来る予定はないと聞いていたから安心して騒いでしまっていた。
将和さんが来ていると知っていたら声を潜めたのに。
こんなんじゃ大人の女だとみてもらえない。
ショックで肩を落としてしまう。
ガーンって上から岩が落ちてきたあのイメージだ。
「最近健斗に何も勝てなくなったって落ち込んでるって聞いたけど、手伝ってあげようか?」
ホントですか?!
ラッキー。
どうやら私の今の落ち込みを将和さんは私が健斗に負けたせいだと勘違いしてくれたらしい。
「是非ともよろしくお願いいたします」
俯いていた顔を上げて将和さんの顔を見つめると
「オッケー」と将和さんが笑顔で頷いてくれる。
「将和、私からも頼むよ。健斗の高くなった鼻を折ってやるといい」
おじ様が面白そうに口角を上げた。
「ーーオイ、誰の鼻がなんだって」
突然健斗がリビングに現れてふんっと機嫌悪そうに鼻を鳴らした。
「けーんとのことに決まってるでしょ。次は負けない。私はフィクサーを手に入れたんだから」
プイッと横を向くと、
「麻由子、フィクサーの使い方間違ってるから。ブレーンとか軍師とか指南役とかーーー」
「うっるさいっ。もう」
健斗の言葉を遮る。
「こちらの仕事の話は終わったから、今から麻由子ちゃんに何か作戦を与えてあげたらどうだい?」
おじ様、ナイスパスです。
将和さんが頷いたのを見て私は彼の腕に両手を絡ませる。
「今からお願いします。ここにいたら健斗にいろいろバレちゃうから場所を変えましょう」
さあさあと追い立てると、将和さんはおじ様の顔をチラリと見ておじ様が頷いたのを確認してから立ち上がった。
「隣の俺の家に行こうか。今日はお袋もいるはずだから」
「はいっ」
健斗にあっかんべーをして久保山家を後にして隣家の高橋家に移動した。
お隣って移動も楽チン。
初めてお邪魔する高橋家も素敵なお宅だった。
将和さんのお母さんのセンスがいいんだろう。
「あら、久川さんちの麻由子ちゃんじゃない。珍しい組み合わせね」
将和さんのお母さんが将和さんに連れられ私が入っていくと驚いて目を瞬かせている。
「ご無沙汰してます。お邪魔します」
私はぺこりと頭を下げた。
近所にある同じお華の教室に通っていたから私と将和さんのお母さんはただのご近所さん以上に面識がある。
私は高校進学と同時にお華を辞めてしまったからお会いするのは2年以上振りになるのだけど。
「まあまあ、ずいぶんお姉さんになったわねぇ。すっかり綺麗になっちゃって。うちの息子二人ともまだ独り者なのよ~よかったらうちにお嫁に来ない?」
「え、いいんですか。だったら、ぜひ」
お願いしますと頭を下げると、
「高校生相手に何言ってるんだよ。紅茶を入れてきて」と呆れた将和さんにお母さんは背中を押されキッチンに追いやられていた。
私は本気でお願いするつもりだったのに。
またテレビゲームで健斗に負け悔しくて、プリプリしながらかわいい康ちゃんに癒やしてもらおうと一人で階段を降りていくとなんとリビングにおじさまと将和さんがいた。
「やあ、麻由子ちゃん。また健斗に負けたのかい?」
おじさまが柔和な笑顔をみせて笑う。
おじさまの向かいに座る将和さんも口元に笑みを湛えていた。
「えーっと、・・・もしかしてここまで聞こえてました?」
「うん、ごめんね。楽しそうな声がね」
ああ、失敗した。
今日は休日で大事なお客様が来る予定はないと聞いていたから安心して騒いでしまっていた。
将和さんが来ていると知っていたら声を潜めたのに。
こんなんじゃ大人の女だとみてもらえない。
ショックで肩を落としてしまう。
ガーンって上から岩が落ちてきたあのイメージだ。
「最近健斗に何も勝てなくなったって落ち込んでるって聞いたけど、手伝ってあげようか?」
ホントですか?!
ラッキー。
どうやら私の今の落ち込みを将和さんは私が健斗に負けたせいだと勘違いしてくれたらしい。
「是非ともよろしくお願いいたします」
俯いていた顔を上げて将和さんの顔を見つめると
「オッケー」と将和さんが笑顔で頷いてくれる。
「将和、私からも頼むよ。健斗の高くなった鼻を折ってやるといい」
おじ様が面白そうに口角を上げた。
「ーーオイ、誰の鼻がなんだって」
突然健斗がリビングに現れてふんっと機嫌悪そうに鼻を鳴らした。
「けーんとのことに決まってるでしょ。次は負けない。私はフィクサーを手に入れたんだから」
プイッと横を向くと、
「麻由子、フィクサーの使い方間違ってるから。ブレーンとか軍師とか指南役とかーーー」
「うっるさいっ。もう」
健斗の言葉を遮る。
「こちらの仕事の話は終わったから、今から麻由子ちゃんに何か作戦を与えてあげたらどうだい?」
おじ様、ナイスパスです。
将和さんが頷いたのを見て私は彼の腕に両手を絡ませる。
「今からお願いします。ここにいたら健斗にいろいろバレちゃうから場所を変えましょう」
さあさあと追い立てると、将和さんはおじ様の顔をチラリと見ておじ様が頷いたのを確認してから立ち上がった。
「隣の俺の家に行こうか。今日はお袋もいるはずだから」
「はいっ」
健斗にあっかんべーをして久保山家を後にして隣家の高橋家に移動した。
お隣って移動も楽チン。
初めてお邪魔する高橋家も素敵なお宅だった。
将和さんのお母さんのセンスがいいんだろう。
「あら、久川さんちの麻由子ちゃんじゃない。珍しい組み合わせね」
将和さんのお母さんが将和さんに連れられ私が入っていくと驚いて目を瞬かせている。
「ご無沙汰してます。お邪魔します」
私はぺこりと頭を下げた。
近所にある同じお華の教室に通っていたから私と将和さんのお母さんはただのご近所さん以上に面識がある。
私は高校進学と同時にお華を辞めてしまったからお会いするのは2年以上振りになるのだけど。
「まあまあ、ずいぶんお姉さんになったわねぇ。すっかり綺麗になっちゃって。うちの息子二人ともまだ独り者なのよ~よかったらうちにお嫁に来ない?」
「え、いいんですか。だったら、ぜひ」
お願いしますと頭を下げると、
「高校生相手に何言ってるんだよ。紅茶を入れてきて」と呆れた将和さんにお母さんは背中を押されキッチンに追いやられていた。
私は本気でお願いするつもりだったのに。