彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
「三嶋」
もう、何なの。
低い声で私を呼んだと思ったら竜はまたソファーに座ってしまった。
「ごめん、やっぱもう一杯コーヒー淹れて」
え、え?コーヒー?
「体調は?」
「体調は悪くない。頼むから。三嶋が淹れてくれたコーヒーが飲みたい」
復活したのかそう言う竜の顔色は悪くない。
だったら竜の言うとおり体調は悪くないのかもしれない。頭はおかしそうだけど。
「さっきと同じでいい?」
「ああ」
「わかった」
二人分のカップを回収してキッチンに向かった。
本日2回目のお湯を沸かし、コーヒー豆を挽くところから。
ゴリゴリーーゴリゴリーーゴリゴリーー
さっきと同じようにゆっくりミルを回していると。
さっきと違うことが起こった。
足音がして今度は背中が温かくなりミルを回す私の手に竜の右手が乗せられていた。
これは背後から押さえつけられている、というか・・・もしかして、バックハグされてる?
「りゅ、竜?」
私の耳やうなじに吐息がかかる。もちろん自分のものじゃない。
ドキンと胸が跳ねた。
そこからはもう一気に心臓の動きが速くなっている。
重ねられた右手と背中と首筋に竜の体温を感じる。
「ほら、手が止まってる。動かせよ。ゆっくり、だったか?」
「な、なにして・・」
「いいから、ちゃんと挽けよ。美味しいコーヒー飲ませてくれるんだろう」
そうだけど。
この体勢が気になって仕方ない。
ど、どうしよう腰が抜けそうーーー
膝に力が入らなくなった私に気がついたらしい竜が私の右手から手を離し、両手を私のお腹に回してぎゅっと抱きしめてきた。
嘘、もうホントにこれしっかりバックハグだ。
今までこんなことされたことない。今になってどうしてこんなこと。
まさか、失恋した傷を私で埋めようとしてるんじゃ。
そう思ったらすごく悲しくなって鼻の奥が熱くなってきた。
「・・・三嶋が他の男を褒めてるのを聞いたら堪らなくなったんだけど」
絞り出すような竜の声。
だけど、何を言ってる?私がなんだって?
竜が言ってることは私の心を苛立たせた。
「何を・・・何を勝手なこと言ってるのよ。アンタはこの半年、いつだって姫の話ばっかり。どんなに素晴らしいかって、私の前でぺらぺらと。それを私がどんな気持ちで聞いてたと思ってんのよ」
ふざけんな
身体をよじって抜け出そうとすると、逆にしっかりと抱きしめられてしまう。
私のお腹に回された竜の腕に力がこもってちょっと苦しいくらい。
「高橋先輩はそんなんじゃない。女性としてっていうより会社の営業の先輩ーー人間としてすごいって純粋に感心してただけで、持っていたのは恋愛感情じゃない」
「今更そんなこと言っても、そんなこと信じるわけないでしょ」
私とお酒を飲む度、散々彼女を褒め倒していたじゃない。
「三嶋にはセンパイの真実の姿を知って欲しかったんだ。この先も付き合うことになる相手だし。・・・・俺は三嶋のことが好きだ。だからお前が他の男のことを褒めるのを聞くのは嫌だ」
あれ、竜ったらいま何を言ってる??
好き?
聞き間違えた?
好きなはずがない。
だって、竜はいつも・・・いつも。
もう、何なの。
低い声で私を呼んだと思ったら竜はまたソファーに座ってしまった。
「ごめん、やっぱもう一杯コーヒー淹れて」
え、え?コーヒー?
「体調は?」
「体調は悪くない。頼むから。三嶋が淹れてくれたコーヒーが飲みたい」
復活したのかそう言う竜の顔色は悪くない。
だったら竜の言うとおり体調は悪くないのかもしれない。頭はおかしそうだけど。
「さっきと同じでいい?」
「ああ」
「わかった」
二人分のカップを回収してキッチンに向かった。
本日2回目のお湯を沸かし、コーヒー豆を挽くところから。
ゴリゴリーーゴリゴリーーゴリゴリーー
さっきと同じようにゆっくりミルを回していると。
さっきと違うことが起こった。
足音がして今度は背中が温かくなりミルを回す私の手に竜の右手が乗せられていた。
これは背後から押さえつけられている、というか・・・もしかして、バックハグされてる?
「りゅ、竜?」
私の耳やうなじに吐息がかかる。もちろん自分のものじゃない。
ドキンと胸が跳ねた。
そこからはもう一気に心臓の動きが速くなっている。
重ねられた右手と背中と首筋に竜の体温を感じる。
「ほら、手が止まってる。動かせよ。ゆっくり、だったか?」
「な、なにして・・」
「いいから、ちゃんと挽けよ。美味しいコーヒー飲ませてくれるんだろう」
そうだけど。
この体勢が気になって仕方ない。
ど、どうしよう腰が抜けそうーーー
膝に力が入らなくなった私に気がついたらしい竜が私の右手から手を離し、両手を私のお腹に回してぎゅっと抱きしめてきた。
嘘、もうホントにこれしっかりバックハグだ。
今までこんなことされたことない。今になってどうしてこんなこと。
まさか、失恋した傷を私で埋めようとしてるんじゃ。
そう思ったらすごく悲しくなって鼻の奥が熱くなってきた。
「・・・三嶋が他の男を褒めてるのを聞いたら堪らなくなったんだけど」
絞り出すような竜の声。
だけど、何を言ってる?私がなんだって?
竜が言ってることは私の心を苛立たせた。
「何を・・・何を勝手なこと言ってるのよ。アンタはこの半年、いつだって姫の話ばっかり。どんなに素晴らしいかって、私の前でぺらぺらと。それを私がどんな気持ちで聞いてたと思ってんのよ」
ふざけんな
身体をよじって抜け出そうとすると、逆にしっかりと抱きしめられてしまう。
私のお腹に回された竜の腕に力がこもってちょっと苦しいくらい。
「高橋先輩はそんなんじゃない。女性としてっていうより会社の営業の先輩ーー人間としてすごいって純粋に感心してただけで、持っていたのは恋愛感情じゃない」
「今更そんなこと言っても、そんなこと信じるわけないでしょ」
私とお酒を飲む度、散々彼女を褒め倒していたじゃない。
「三嶋にはセンパイの真実の姿を知って欲しかったんだ。この先も付き合うことになる相手だし。・・・・俺は三嶋のことが好きだ。だからお前が他の男のことを褒めるのを聞くのは嫌だ」
あれ、竜ったらいま何を言ってる??
好き?
聞き間違えた?
好きなはずがない。
だって、竜はいつも・・・いつも。