政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
友達にも元彼にも〝冷たい女〟扱いをされ、そこからしばらく他人と接するのが怖くなり、ブラコンに磨きがかかった。
立ち直りが悪い方ではないため、数ヵ月もすれば色々割り切れ新しく好きな人もできたけれど。
独特の閉鎖感のある当時の学校の雰囲気。聞こえるか聞こえないかのボリュームでささやかれる陰口。私が悪いと、非難するような眼差しを向けた戸村くん。
それらが脳裏に思い出され、嫌な気持ちになる。
それと同時に、どうしてあの時のことが紐づいて浮かんできたのかがわかり、唇をかみしめた。
色々あって忘れていたけれど、蓮見さんとの結婚は政略結婚でしかない。
つまりは、利害関係の上で成り立っていた、あの友達関係みたいなものだ。無償の情をお互いに持っていると思っていたのは私だけで、相手は有償な関係しか望んでいない。
『聞いた話だと、蓮見さんとは政略結婚で気持ちはないんだろう? まぁ、正直、君のところが持っている特許は魅力的だから、蓮見さんが欲しがる気持ちはわかるんだ。君を手元で押さえておけば宮澤社長だって強くは出ないだろうし、蓮見さんからしたら本当に社のための政略結婚として割り切ってるんだろう。男はそういうことができるからね』
蓮見さんの目的は、私じゃなく、うちの会社が持つ特許だ。それが、わかってしまった。
気持ちだけで繋がりたいのに、また……繰り返しだ。