政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
「宮澤さんだって、きっと同じ気持ちだと思うの」
「私の両親のことでしたら気にしていただかなくても大丈夫です。でも、お義父さんとお義母さんのお心遣いはありがたく……」
「とりあえず、今日は夜まで予約は入っていないらしいから寄って行きなさい。ね。それで好みに合わなそうなら断ればいいだけの話だから、春乃ちゃんも重たく捉えないで」
ニコッと華やかな笑顔を向けられてしまえば、新米嫁の私に拒否権なんてものはなかった。
「大祐さんは、私の気持ちを尊重してくれているのかと思っていました」
〝BLOSSOM〟に向かう車内。
わざと刺々しい声で言ったのに、大祐さんは涼しい顔を崩すことはなかった。
「尊重はするし、何よりも優先したいと考えている。けれど、時と場合による」
「それは尊重していないのと同じ……」
「結婚式は基本的には春乃の好きにすればいいと思ってはいる。だが、ドレスの件に関して言うなら、俺はオーダーメイドすればいいと思っていた。だったら母の勧めを断る理由はない」
なんでそこまで購入にこだわるのか。
蓮見家がもともとレンタルという概念を持たない一家なのか。
頭に浮かんだ疑問に答えるようなタイミングで大祐さんが続ける。