政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


「春乃の会社は水曜日が定休だったな。明日はさすがに無理だが、来週の水曜に時間をとる」
「え?」
「気に入っているメーカーがあるなら、取り扱っている店を調べておく。ダイニングテーブルでもソファでも家電でもなんでもいい」

なんの話をされているのかいまいち理解できずにポカンとしていると、蓮見さんはそんな私を見て不可解そうに眉を寄せた。

「なにをぼんやりしてる。春乃が言ったんだろ。ふたりで選んだものがひとつもない部屋は落ち着かないと。俺も異論はないからそうするまでだ。なにか希望は?」
「……考えておきます」

希望なんてなにもないなどとは今更言い出せず、なんとかそれだけ答える。

この、すでに仕上がっている素敵な部屋を、蓮見さんは私の好きにいじくり回していいと言う。
私の気に入ったメーカーの家具でいい上、しかもたぶん買い物に同行する気だ。

思った以上に広い心を見せられ、返す言葉もなかった。



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