政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
「家具、なに買うか決めたのか?」
白崎に聞かれ首を振る。
「まだだけど、小物にしようかと思う。大きい家具なんか買っちゃったら婚約破棄になったときに困るっていうか……申し訳ないし」
今日の朝、蓮見さんは『特に希望の店がないなら、このあたりから選べ』とタブレットを見せてきた。
うちの母もお気に入りの有名デザイナーが手掛ける家具がラインナップされていて、どれも素敵ではあったけれど、先のことを考えれば決められるはずがない。
「この中から選べって言われた」と、例のページを見せると、白崎はまず価格に驚いて顔をしかめていた。
「どれも俺の給料三ヵ月分を軽々超えてるってどうかしてるだろ。っていうか、蓮見さんに婚約指輪用意させたらすごそうだな」
〝給料三ヵ月分〟から指輪を連想した白崎に眉を寄せる。
「そんな展開にはならないから大丈夫」
「別にそんな意地張らなくても、そのまま結婚するって選択肢はないのか? 普通に最高レベルの優良物件だろ。美形で体もよくて金もある。性格だって、器が大きいなら嫌がる理由ないし」
なにがそんなに気に入らないんだと言いたそうな顔をされ、口を尖らせた。