愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「きゃっ、」

「嘘じゃない。心底そう思っている」

「しょ、祥さん…!?」

「言葉だけでは足りないのなら、また(・・)一から体に教え込もうか」

「からっ…って!……あっ、」

いきなりたくましい体に密着させられて、全身がカッと発火したように熱くなった。背中の手が、意味ありげに腰を撫で始める。

「小さくて可愛い仔ダヌキをたっぷりと甘やかして、一生俺なしではいられなくしてやろうかな」

「もっ、もう……」

恥ずかしいのに妙に嬉しくて、リアクションに困ってしまう。
腰に置かれた手とは反対の手が、スルスルと髪を撫でてからあごを軽く掴んだ。のぞき込むように傾けた顔がゆっくりと近付いてくる。

それが何を意味するのか。

ついさっきの「目を閉じて」という彼の声が耳の奥によみがえり、わたしは自然とまぶたを下ろした。

あと少しで唇同士が触れる―――その時。

―――ピロピロピロローン ピロピロローン

すぐ後ろから聞こえた電子音に、思わず背中が大きく跳ね上がった。
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