愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
この温室の管理を任されてから一か月半。最初の頃に植えたハーブはずいぶんと伸びてきたし、妊娠が分かってからも少しずつ増やしてきたので、今や温室の半分くらいはハーブで埋まっている。
バジルのプランターには一緒にミニトマトも植えた。『コンパニオンプランツ』と言ってお互いにいい影響を及ぼし合う植物同士があるのだ。
つわりがひどくなってからは、長い間の作業は控えて体調を見ながら短時間での作業しかしていない。
けれど正直、一人でこの家にいる時は、温室にいるのが一番楽なのだ。
ソファーや寝室でじっとしていてもつわりが辛い時でも、ここに来ると少しだけ楽になる気がする。馴染みのあるハーブの匂いが落ち着くせいかもしれない。
祥さんの視線を追ってぐるりと温室を見回したあと、彼と同じように温室の外を眺める。
温室のガラスに水滴がいくつもついていて、彼が言った通り、気付ないうちに雨が降り出していたのだと思った。
(雨と温室……)
脳裏にある情景が浮かんだ。
二か月ほどしか経っていないはずなのに、ずいぶんと昔のことだったような気がする。
「思い出すな」
ポツリと聞こえた声に「え?」と振り向くと、ガラスの向こう側を見ていた彼がこちらに顔を向けた。
バジルのプランターには一緒にミニトマトも植えた。『コンパニオンプランツ』と言ってお互いにいい影響を及ぼし合う植物同士があるのだ。
つわりがひどくなってからは、長い間の作業は控えて体調を見ながら短時間での作業しかしていない。
けれど正直、一人でこの家にいる時は、温室にいるのが一番楽なのだ。
ソファーや寝室でじっとしていてもつわりが辛い時でも、ここに来ると少しだけ楽になる気がする。馴染みのあるハーブの匂いが落ち着くせいかもしれない。
祥さんの視線を追ってぐるりと温室を見回したあと、彼と同じように温室の外を眺める。
温室のガラスに水滴がいくつもついていて、彼が言った通り、気付ないうちに雨が降り出していたのだと思った。
(雨と温室……)
脳裏にある情景が浮かんだ。
二か月ほどしか経っていないはずなのに、ずいぶんと昔のことだったような気がする。
「思い出すな」
ポツリと聞こえた声に「え?」と振り向くと、ガラスの向こう側を見ていた彼がこちらに顔を向けた。