愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
[2]

彼は抱えていたわたしをリビングのソファーに下ろすと、「何か飲むか?」と訊いてきた。喉は乾いていなかったけれど、水分はきちんと取った方がいい。つわり中の今、食べ物からの水分補給が減っている分、水分は意識して取るようにしていた。

「祥さんも何か一緒に飲まれますか?」

わたしが訊ね返すと、彼は一瞬考えたのちに「ああ、そうだな」と頷いた。

「じゃあ、少し待っていてください」

ゆっくりと立ち上がってキッチンに向かうと、後ろから彼が追いかけてきた。
「俺が淹れるから寿々那は座っていたらいい」と言う彼に「じゃあ少しだけお手伝いしてもらってもいいですか?」とわたしは言った。


数分後、ソファーに並んで座り、二人で作ったドリンクを口にした彼が「うまい!」と声を上げた。

「お口に合って良かったです」

「レモンの酸味とミントの香りでなんだか気分がスッキリするな」

「口の中もスッキリするので、つわりの時でも飲みやすいんです」

「仕事の合間に飲んだら、いいリフレッシュになりそうだ」

「はい、それは是非」

わたしが作ったのは、『ミントレモンスカッシュ』。
ついさっき、彼が迎えに来る前に摘んでおいた『ミント』と『レモンバーム』。それらをレモンのはちみつ漬けと一緒にグラスにいれ、上から炭酸水をそそいだだけ。

鼻に抜けるフレッシュミントならではの瑞々(みずみず)しい香りとレモンの酸味が、弾ける炭酸と合わさると爽快で、つわりの時でも飲みやすい。このレモンスカッシュを作ろうと思って、温室に行っていたのだ。
< 113 / 225 >

この作品をシェア

pagetop