愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
もし今、荒尾に言われたことを祥さんに直接訊ねたとして。
『その通りだ』
『仕事に有益だったから嫁にした』
『恋愛感情なんてあるはずない』
そう答えが返って来ても、傷つくだけ。
それに、今さら結婚の真意を確かめてどうなるというのだろう。
政略結婚だろうが恋愛結婚だろうが、お腹の子は間違いなく祥さんの子。この子を連れて彼の元から離れるなんて考えられない。もちろん、森乃やに戻って荒尾と結婚するなんて絶対にありえない。
荒尾と結婚したくないばかりに彼を利用したのはわたし。
彼はそんなわたしを引き受ける代わりに、森乃やを手に入れることができた。
お互いにギブ&テイク。winwinなのだ、この結婚は。
「何か食べられそうなものがあれば買ってくる。―――何がいい?蕎麦か……それともおにぎりにするか?」
わたしの背中をトントンとあやすように叩きながら、祥さんが訊ねる。
わたしは左右に首を振った。
「今は、まだ……」
―――もう少しだけこのままで。
広い胸に甘えるように頬を摺り寄せると、背中に回された腕が心なしか締まった。
―――好きです。
「ありがとうございます……祥さん」
一番伝えたい言葉を感謝の言葉にすり替えた。
広く逞しい胸と大きな腕に包まれる。
そっと背中を撫でてくれる手は優しくて安心できる。だけどそれと同時に、どうしようもなく胸が締め付けられて苦しい。
(好き……あなたが好きです、祥さん……)
心の中でこっそりそう呟くと、目尻から涙がひとすじ流れ落ちた。
『その通りだ』
『仕事に有益だったから嫁にした』
『恋愛感情なんてあるはずない』
そう答えが返って来ても、傷つくだけ。
それに、今さら結婚の真意を確かめてどうなるというのだろう。
政略結婚だろうが恋愛結婚だろうが、お腹の子は間違いなく祥さんの子。この子を連れて彼の元から離れるなんて考えられない。もちろん、森乃やに戻って荒尾と結婚するなんて絶対にありえない。
荒尾と結婚したくないばかりに彼を利用したのはわたし。
彼はそんなわたしを引き受ける代わりに、森乃やを手に入れることができた。
お互いにギブ&テイク。winwinなのだ、この結婚は。
「何か食べられそうなものがあれば買ってくる。―――何がいい?蕎麦か……それともおにぎりにするか?」
わたしの背中をトントンとあやすように叩きながら、祥さんが訊ねる。
わたしは左右に首を振った。
「今は、まだ……」
―――もう少しだけこのままで。
広い胸に甘えるように頬を摺り寄せると、背中に回された腕が心なしか締まった。
―――好きです。
「ありがとうございます……祥さん」
一番伝えたい言葉を感謝の言葉にすり替えた。
広く逞しい胸と大きな腕に包まれる。
そっと背中を撫でてくれる手は優しくて安心できる。だけどそれと同時に、どうしようもなく胸が締め付けられて苦しい。
(好き……あなたが好きです、祥さん……)
心の中でこっそりそう呟くと、目尻から涙がひとすじ流れ落ちた。