愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
荒尾の問いかけに祥さんは何も返さない。
「祥さん……」
「お嬢さんは実の親に売られたんです。俺の子と一緒にね」
「なっ、……ちがうっ!この子は本当に祥さんの、」
「耳を貸しちゃダメですよ、社長。可哀そうなお嬢様のフリをするのが得意なんですから、この女は。それに口では何とでも言える」
母がお腹の子のことを祥さんに何と言ったかは分からない。
けれど百パーセント違うのは、お腹の子が荒尾との子どもだということ。
ロンドンから帰国して、婚礼までの一週間。荒尾とそんな関係になったことなんて一度もない。わたしと荒尾はまったくの他人同士。唯一あるとしたら、ついさっきのキスだけ。
思い出した途端、心の底から嫌悪感が溢れ出し、嘔吐きそうになる。強い吐き気に顔を歪ませた。
「寿々那、……寿々那を離せ、荒尾」
「そんなにこの女がいいのかよ。あんたほどの会社の社長なら、もっといい女でもより取り見取りだろうに……そんなにいいって言うんならくれてやってもいい。だけどその代わりに俺を訴えるのをやめるよう、あんたから森乃やに言ってくれ。ああ、ついでに一千万もあんたから返しておいてくれよ」
どの口がそんなことを…!
支離滅裂でなんの根拠もない作り話をした上に、横領の罪も解雇もナシにしようとするだなんて―――。
「祥さん……」
「お嬢さんは実の親に売られたんです。俺の子と一緒にね」
「なっ、……ちがうっ!この子は本当に祥さんの、」
「耳を貸しちゃダメですよ、社長。可哀そうなお嬢様のフリをするのが得意なんですから、この女は。それに口では何とでも言える」
母がお腹の子のことを祥さんに何と言ったかは分からない。
けれど百パーセント違うのは、お腹の子が荒尾との子どもだということ。
ロンドンから帰国して、婚礼までの一週間。荒尾とそんな関係になったことなんて一度もない。わたしと荒尾はまったくの他人同士。唯一あるとしたら、ついさっきのキスだけ。
思い出した途端、心の底から嫌悪感が溢れ出し、嘔吐きそうになる。強い吐き気に顔を歪ませた。
「寿々那、……寿々那を離せ、荒尾」
「そんなにこの女がいいのかよ。あんたほどの会社の社長なら、もっといい女でもより取り見取りだろうに……そんなにいいって言うんならくれてやってもいい。だけどその代わりに俺を訴えるのをやめるよう、あんたから森乃やに言ってくれ。ああ、ついでに一千万もあんたから返しておいてくれよ」
どの口がそんなことを…!
支離滅裂でなんの根拠もない作り話をした上に、横領の罪も解雇もナシにしようとするだなんて―――。