愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
彼には何をされても、気持ち悪いだなんて微塵も思わなかった。
けれど、それがいったいどういうことなのか、わたしには分からなかったのだ。
ただ、自分を救い出してくれた彼のことを雛鳥のごとく刷り込みで慕うようになったのだとばかり。
好きでなければ出来るはずないのに。
『初めて』を貰って欲しいと思うことも、婚礼の直前に彼の手を取ることも。
(バカね、寿々那……そんなことにも気付かなかったなんて……)
自分の愚かさを呪った時、嫌悪感が吐き気となって込み上げた。
わたしは衝動的に目の前にあるプランターからハーブをむしり取ると、勢いのままに口の中に押し込んだ。
生の葉の青くささが口の中に広がる。ためらうことなくそれを噛みしめると、すうっとした清涼感のある香りが鼻から抜けた。
葉をひと噛みするごとに目から涙がぽろぽろとこぼれて、「ううっ、」と嗚咽が漏れる。顔を両手で覆おうとした時。
激しいお腹の痛みに襲われた。
「いっ…たぁ……っ、」
「寿々那…!?」
少し離れたところから、祥さんに呼ばれる。だけど返事をするどころか顔を上げることすら出来ず、わたしはお腹を押さえてその場にうずくまった。
「寿々那っ!!」
祥さんの大きな声と同時に、温室の入り口からバタバタと複数の足音が聞こえ、「大丈夫ですかっ!」と男性の声がしたけれど、わたしは痛みに耐えるのが精いっぱい。脂汗が滲んで意識が遠のく。
駆け寄ってきた祥さんに抱きしめられたのを最後に、意識がプツリと途切れた。
けれど、それがいったいどういうことなのか、わたしには分からなかったのだ。
ただ、自分を救い出してくれた彼のことを雛鳥のごとく刷り込みで慕うようになったのだとばかり。
好きでなければ出来るはずないのに。
『初めて』を貰って欲しいと思うことも、婚礼の直前に彼の手を取ることも。
(バカね、寿々那……そんなことにも気付かなかったなんて……)
自分の愚かさを呪った時、嫌悪感が吐き気となって込み上げた。
わたしは衝動的に目の前にあるプランターからハーブをむしり取ると、勢いのままに口の中に押し込んだ。
生の葉の青くささが口の中に広がる。ためらうことなくそれを噛みしめると、すうっとした清涼感のある香りが鼻から抜けた。
葉をひと噛みするごとに目から涙がぽろぽろとこぼれて、「ううっ、」と嗚咽が漏れる。顔を両手で覆おうとした時。
激しいお腹の痛みに襲われた。
「いっ…たぁ……っ、」
「寿々那…!?」
少し離れたところから、祥さんに呼ばれる。だけど返事をするどころか顔を上げることすら出来ず、わたしはお腹を押さえてその場にうずくまった。
「寿々那っ!!」
祥さんの大きな声と同時に、温室の入り口からバタバタと複数の足音が聞こえ、「大丈夫ですかっ!」と男性の声がしたけれど、わたしは痛みに耐えるのが精いっぱい。脂汗が滲んで意識が遠のく。
駆け寄ってきた祥さんに抱きしめられたのを最後に、意識がプツリと途切れた。