愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「あの男は……荒尾はどうなったんですか!?」
こんな肝心なことを聞き忘れていたなんて……。
赤ちゃんが無事だったことや祥さんからの思いがけない告白で、すっかり頭の中から抜け落ちてしまっていた。
支離滅裂な虚言をぶちまけていた荒尾が、あの後どうなったのか気になった。
祥さんはお腹の子のことを『俺の子』と言ってくれたけれど、荒尾とそういう関係があったと思われるなんて絶対にイヤ。
「あのっ…わたし、本当に荒尾とは何も、」
「分かっている。おまえを抱いたのは俺だけだってことは」
あまりにも自信満々にきっぱりとそう言い切られて、わたしは目を白黒させてしまう。
「ちがうのか?」
そう問われて慌てて左右に首を振ると、「だろうな」と頷かれた。
「なんで……」
そんなことが分かるの―――?その疑問が伝わったのか、祥さんは口の片端をクッと持ち上げ言った。
「抱けば分かる。そうなるようにあの夜抱き潰したからな」
「~~~っ!」
「今すぐにでも、可愛い仔ダヌキを思う存分愛でたいのは山々だが、ここは病院でおまえは安静中。しかも、そろそろ……」
言いながら目線を上げた祥さんにつられ、わたしもそちらを見る。彼が見ているのは病室の入り口だ。
『そろそろ』とはいったい何のことだろう。そう思った時、病室のドアが「ガタン」と音を立てて威勢よく開かれた。
病室に飛び込んで来た人に、わたしは自分の目を疑った。
「寿々那っ…!」
「おっ、お母さん!?」
それは、今まで見たことがないほど青ざめた顔をした母だった。
こんな肝心なことを聞き忘れていたなんて……。
赤ちゃんが無事だったことや祥さんからの思いがけない告白で、すっかり頭の中から抜け落ちてしまっていた。
支離滅裂な虚言をぶちまけていた荒尾が、あの後どうなったのか気になった。
祥さんはお腹の子のことを『俺の子』と言ってくれたけれど、荒尾とそういう関係があったと思われるなんて絶対にイヤ。
「あのっ…わたし、本当に荒尾とは何も、」
「分かっている。おまえを抱いたのは俺だけだってことは」
あまりにも自信満々にきっぱりとそう言い切られて、わたしは目を白黒させてしまう。
「ちがうのか?」
そう問われて慌てて左右に首を振ると、「だろうな」と頷かれた。
「なんで……」
そんなことが分かるの―――?その疑問が伝わったのか、祥さんは口の片端をクッと持ち上げ言った。
「抱けば分かる。そうなるようにあの夜抱き潰したからな」
「~~~っ!」
「今すぐにでも、可愛い仔ダヌキを思う存分愛でたいのは山々だが、ここは病院でおまえは安静中。しかも、そろそろ……」
言いながら目線を上げた祥さんにつられ、わたしもそちらを見る。彼が見ているのは病室の入り口だ。
『そろそろ』とはいったい何のことだろう。そう思った時、病室のドアが「ガタン」と音を立てて威勢よく開かれた。
病室に飛び込んで来た人に、わたしは自分の目を疑った。
「寿々那っ…!」
「おっ、お母さん!?」
それは、今まで見たことがないほど青ざめた顔をした母だった。