愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
王様のホテル
[1]
「いっ……いったいどういうことなんですか!?」
祥さんの腕から下ろされた瞬間、わたしは彼に向かってそう叫んだ。
婚礼の直前に半ば攫われるようにして【森乃や】から連れ出されたわたしは、門の前に横付けされていた黒塗りの車に乗せられ、あっという間に【森乃や】をあとに。
後部座席に乗せられてすぐ、わたしの隣に乗り込んできた祥さんドアを閉めると同時に運転手が車を出す、というサスペンスドラマさながらの動きに唖然としていると、『寿々那。シートベルトを』と祥さんに言われて慌ててそれを締めた。
ホッと息をついたところでハッと我に返ったら、今度は頭の中がパニックに。わたしの思考が動き出すよりも早く車は停車した。
再び彼に抱えられて車から降ろされる。慌てて『自分で歩けます』と言ったのに、『履物を持ち出すのを忘れたんだ』と彼はわたしを下ろさなかった。
『白無垢で抱っこ』という注目を浴びる以外の何ものでもない状況に、せめて綿帽子を被っていれば、と何度思ったことか。
わたしは祥さんの腕の中で顔を隠すことで精一杯だった。
そしてそれから数分後。やっと誰もいない場所に下ろされた―――というわけだ。
「いっ……いったいどういうことなんですか!?」
祥さんの腕から下ろされた瞬間、わたしは彼に向かってそう叫んだ。
婚礼の直前に半ば攫われるようにして【森乃や】から連れ出されたわたしは、門の前に横付けされていた黒塗りの車に乗せられ、あっという間に【森乃や】をあとに。
後部座席に乗せられてすぐ、わたしの隣に乗り込んできた祥さんドアを閉めると同時に運転手が車を出す、というサスペンスドラマさながらの動きに唖然としていると、『寿々那。シートベルトを』と祥さんに言われて慌ててそれを締めた。
ホッと息をついたところでハッと我に返ったら、今度は頭の中がパニックに。わたしの思考が動き出すよりも早く車は停車した。
再び彼に抱えられて車から降ろされる。慌てて『自分で歩けます』と言ったのに、『履物を持ち出すのを忘れたんだ』と彼はわたしを下ろさなかった。
『白無垢で抱っこ』という注目を浴びる以外の何ものでもない状況に、せめて綿帽子を被っていれば、と何度思ったことか。
わたしは祥さんの腕の中で顔を隠すことで精一杯だった。
そしてそれから数分後。やっと誰もいない場所に下ろされた―――というわけだ。