愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「あのっ、祥さん……退いてくだ、」

「どこに帰ると言うんだ」

「だから森乃やにっ」

「俺はおまえをどこにもやらない。約束しただろ?『ひどく奪ってやる』と」

「……だからそれはもう、」

「俺は約束を(たが)えない。ビジネスでもプライベートでも、な。―――花嫁奪還成功だ」

「だっかん…!?」

まさか……『奪ってやる』と言ったのはわたしの処女だけじゃなかったの…!?

驚きすぎて言葉を失っていると、祥さんがここぞとばかりにわたしの帯を(ほど)き出す。

ハッと我に返った時にはすでに帯はベッドの下に落とされ、着付けの時に使った小物も素早く取り払われた。

「わっ、」

あまりの手際の良さに驚くけれど、今はそれどころじゃない。
わたしが止めるより早く掛下の前合わせを完全に開いた彼は、その下にある長襦袢(ながじゅばん)の腰ひもも()いてしまった。

「ちょ、ちょっと待って祥さ、……あっ、やっ…!」

彼はわたしの制止などまったく意に会することなく、(くつろ)げた胸もとにきつく吸い付いてきた。チリっと焼けるような痛みと共に、背中に甘い痺れが伝う。

「あっ、」と短く喘いで身を捩ると、追いかけてきた彼の唇に口を塞がれた。
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