愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
今から二日前。
ここ【KAGETSU博多】に連れて来られたわたしが、初めて彼の名字が『香月』だと知ったその時。
頭に浮かんだ『まさか』を確かめようとしたタイミングで呼び鈴が。
すると祥さんはあっさりとわたしの上から退き、ベッドルームを出て行ってしまった。
いったい何がどうなっているのかと混乱しつつ、ひとまずベッドルームから出て行くべきかどうかを悩んでいると、すぐに戻って来た彼が『少し外す。その間にこれに着替えておいたらいい』と紙袋を置いて行った。
彼が出て行ったあと、その中を見てみると、入っていたのはハイブランドの洋服数点と下着一式。そして靴。
靴のサイズだけでなく下着のサイズまですべてがピッタリで、やっぱりわたしは唖然としたのだった。
「どんな魔法を使ったんだろう……」
ジャグジーの縁に背中を預けて、独り言ちる。
あの時の紙袋の中には、今着ている水着も入っていた。
一瞬にしてそんなものを用意したからくりに頭を捻っていると、小一時間後に帰って来た彼がわたしに見せたものに、声を失くすほど驚いた。
『妻になる人』以外がすべて埋まった婚姻届け。証人欄の右側には『森美希子』とある。
娘のわたしが見間違えるわけはない。確かに母の筆跡だった。
『なんで……』と言ったきり言葉を失っているわたしに、祥さんは『俺たちの結婚を寿々那のご両親に認めていただいた』と言う。
誘拐犯として訴えられてもおかしくないのに、それどころか婚姻の承認まで貰えるなんて―――。
目を白黒させているわたしに『これで寿々那は名実ともに俺の花嫁になるな』彼が言った通り、その日のうちにその婚姻届けは難なく受理された。
ここ【KAGETSU博多】に連れて来られたわたしが、初めて彼の名字が『香月』だと知ったその時。
頭に浮かんだ『まさか』を確かめようとしたタイミングで呼び鈴が。
すると祥さんはあっさりとわたしの上から退き、ベッドルームを出て行ってしまった。
いったい何がどうなっているのかと混乱しつつ、ひとまずベッドルームから出て行くべきかどうかを悩んでいると、すぐに戻って来た彼が『少し外す。その間にこれに着替えておいたらいい』と紙袋を置いて行った。
彼が出て行ったあと、その中を見てみると、入っていたのはハイブランドの洋服数点と下着一式。そして靴。
靴のサイズだけでなく下着のサイズまですべてがピッタリで、やっぱりわたしは唖然としたのだった。
「どんな魔法を使ったんだろう……」
ジャグジーの縁に背中を預けて、独り言ちる。
あの時の紙袋の中には、今着ている水着も入っていた。
一瞬にしてそんなものを用意したからくりに頭を捻っていると、小一時間後に帰って来た彼がわたしに見せたものに、声を失くすほど驚いた。
『妻になる人』以外がすべて埋まった婚姻届け。証人欄の右側には『森美希子』とある。
娘のわたしが見間違えるわけはない。確かに母の筆跡だった。
『なんで……』と言ったきり言葉を失っているわたしに、祥さんは『俺たちの結婚を寿々那のご両親に認めていただいた』と言う。
誘拐犯として訴えられてもおかしくないのに、それどころか婚姻の承認まで貰えるなんて―――。
目を白黒させているわたしに『これで寿々那は名実ともに俺の花嫁になるな』彼が言った通り、その日のうちにその婚姻届けは難なく受理された。