愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
わたしは彼の妨害(・・)をかいくぐり、必死に話を続けた。

「あのっ、ずっと気になっていたことを、……ぁうっ、うちの母に婚姻届けっ、んの署名をもら、えたのってっ、」

危うく口を塞がれそうになって慌てて顔を逸らす。

今日こそ負けてなるものか。

「どうしてなんですかっ…!?」

彼の肩を両手で押し返しながら、声を張り上げた。
すると彼の動きがピタリと止まった。それにホッとしたわたしは、ここぞとばかりに疑問を口にする。

「荒尾の結婚は森乃やを救うためだと言われていたのに、そこから逃げたのに責められるどころかあっさりと許されて……もしかして祥さん……何か、」

「俺は正直に話しただけだ」

「しょ、正直に…!?」

まさか『一夜の情事の相手です』と母に言ったのかと青ざめかけたところで、彼はにやりと不敵に笑った。

「『ロンドンで出会って、それから愛し合っている』と」

「っ、」

「『将来の約束を交わしていた』ということもな」

「なっ…!」

「嘘はついていない。おまえは俺に奪われる覚悟があると言っただろう?」

「……っ!」

そういうのを『こじつけ』とか『屁理屈』とか言うんじゃないのか…!?

「『寿々那さんは、私に遠慮して実家の窮地のことは言えなかったのでしょう。ご両親のため森乃やのために、自分が実家に戻れば良いと考えたのかもしれません。何も言わずにいなくなってしまった時は己の不甲斐なさを心底呪いました』」

「なっ……、」
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