あなたには責任があります!
「やめてくださいってー」
 駐車場のはじに斜めに車を停めると、耳まで真っ赤になったタカフミはハンドルに突っ伏した。
 その車には運転できる人間がタカフミしか乗っていなかったのもあって、ほかのメンバーは半笑いでなぐさめる。
「いやいや、おまえはなんも悪くない。おれたちの心が汚れてるだけだから」
「タカフミは耳を貸さなくていいんだよ。天使は清い心のままで」
「ナビ補助、もういりません。あっちいってください!」
 美花梨をうしろに移動させ、だれも横に座らせないまま、いじけたタカフミはカーナビだけでペンションまでの道を走りきった。
 夜の飲み会でそのエピソードが酒の肴になると、ケンカどころか怒ったところを見せたこともないタカフミが初めて、笑顔とはいえない微妙な顔で酔いつぶれた。
「また蒸し返すなんて、次の日に殊勝な顔で謝ってくれた人とは思えないですね」
「だってさー、やっぱり衝撃だったんだよ、タカフミの口からエロスが発生するなんて。見ちゃいけないものを見ちゃった感じで、胸に刺さったんだよねえ」
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