あなたには責任があります!
 ベッドに戻ろうとは思うのに、身体がなかなか動かない。ぐずぐずしているうちに、女の声にかぶせて天史の荒い呼吸音が聞こえてきた。
 言葉どころか声でもないのに、それを天史が漏らしていると確信できる。離れているのに、耳もとで聞いているかのように思えて、美花梨は身震いする。
 ちがう。こっちはわたしの息だ。
 鼻で深呼吸して、口を押える。恥ずかしいくらい呼吸が乱れている。
 いよいよ天史の動きが激しくなって、大量のティッシュペーパーが引き出される。女が悲鳴のような叫び声をあげる。
「て、天守閣ぅ!」
「?!」
「ああっ、美花梨ぃっ」
「はああ?!」
 手で密封した口の中ではあったものの、美花梨は大きくツッコミを入れた。
 いまのはなに? いろいろ理解できなかったんだけど?!
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