あなたには責任があります!
 コーヒーの香りで目が覚めたとき、ベッドには美花梨ひとりぶんのぬくもりしかなかった。
 キャミソールにパンツ。気持ちよく寝ようと思ったときのままのものを、思ったときのように身に着けている。
 でもこれは、ゆうべのままじゃない。パンツを履かせてくれたのは天史だ。さすがに記憶がないなんて言えない。
 服を拾って着ながら、勇気が出ずにしばらくベッドのまわりをうろついた。
 でも喉が渇いたし、トイレにもいきたい。それにゆうべみたいに寝たフリをしているところに踏み込まれるのは、回避したい。
 漏らす寸前まで逡巡してついに、スライドドアを少しだけ開けた。
 天史はすぐに気付いて、ドアを開けてくれた。
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