あなたには責任があります!
「おはようございます」
「おはよう……トイレ、借りるね」
 ほとんど目も合わせずに、トイレに逃げた。
 リビングに戻ると、天史はいつもどおりの笑顔でガラステーブルのまえに座るように勧めてくれた。
「トーストしかないんですけど、だいじょうぶですか?」
 ちょっと申し訳なさそうに眉尻を下げる仕草が、やっぱりかわいい。天使みたい。
「ありがとう。だいじょうぶ」
 そうか、たぶんこれは“もしもあんなことがなかったら”から始まるコントだ。間が悪いときに目覚めさえしなければ、きっとこんな朝が来たはずだから。天史は、そういうことにしようってつもりなんだ。
 美花梨は少し肩の力を抜いて、皿に載せてくれたパンに手を伸ばした。
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