あなたには責任があります!
「ふ、ふふっ」
 タカフミの腕の中で、美花梨が肩を震わせて笑いはじめた。
「美花梨ちゃん先輩?」
「天使って言ってもさあ」
 生まれたての小鹿のように脚をふらふらと踏ん張って、美花梨は顔を上げた。
「タカフミはエンジェルじゃなくてエロスのほうだからなー」
「あんなの、言いがかりです」
 さすがにほんとうに頬を膨らませたりはしないものの、そうでもしそうな口調で、タカフミがすねた。
「運転に必死だったんだから、しょうがないでしょ。タッくん先輩は去年も行ってるからすいすい行っちゃうけど、ぼくは初めて行くとこだったんですよ? あんな大きなSUVには慣れてないし、命をたくさん預かってるし」
「去年も行っとけばよかったのに」
「ぼくが手作りカトラリー同好会に入ったのはこの春からです」
「そうだっけえ?」
 タカフミは眉を寄せて、憮然と美花梨を見下ろした。
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