あなたには責任があります!
 隣県にあるペンションまで、サークルメンバーの半分を運ぶのを任されたタカフミは、終始緊張気味だった。免許を取ってから2年と言っていたけれど、経験はまったくのペーパードライバーだった。
 なのに時として道路事情は無情だ。達郎が運転する車との間に強引に割り込まれたとき、タカフミは困ったように漏らした。
「あ、そこ、ダメ……」
 助手席にいた美花梨を含むサークルメンバーは、思わず顔を見合わせた。吹き出しはしたものの、かろうじて声はこらえる。タカフミ自身は自分が言った言葉を意識していない。
「えっ、なになに? どうして笑ってるんですか?」
「いいから、前見て集中して」
「はぁい。あ、あー、いーれーてー」
 車線変更したいタカフミが声高に訴えたとき、笑いの自制がはじけた。
 となりとうしろで笑い転げるメンバーが「声だけだと、もうAV」「なにエロなのこれ」と口々に言うのを聞いて、タカフミはとっさに近くのコンビニへとハンドルを切った。
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