冷たい彼氏のホントの気持ち。
少し気まずくて、慌てて目を逸らすと目の前に立っている旭が、「あっ、やべぇな…」と小さな声で言ったのが聞こえてきた。
「何がやべぇの?」
「俺次体育だから行くわ、じゃーな」
次が体育の事を忘れてたから焦ってたみたい。
急いで教室に向かう背中に、「帰る時迎えに来てね〜」とだけ声をかけて私も自分の教室に戻った。
昨日、今日と蒼真とはほとんど話してない。
作戦決行中だから話さないのは仕方がないけど。
けど思い返してみると、今までも話しかけるのは私からで、蒼真から話しかけてくれたことはあんまりなかった。
なのに蒼真が私のことを好きだって思っていたのは、何となくだけど私のことを見る蒼真の目が他の人より優しく思えたから。
それもただの気のせいなのかもって、茜と話していた時に思ってしまった。
それと、さっき目が合った時。
蒼真の表情は"無"だった。
怒っているとも、悲しんでいるとも取れない。
興味のないものを見るような無表情。
完全に私は自信をなくしていた……。