いつかの夏の話より
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日曜、18時。日が落ちるのが早くなったなー…と、スマホを弄りながら思う。
気温19度、湿度58%、降水確率10%。裏起毛のトレーナーを迷わず着れる気温って何度だろう。
ふと脳内に浮かんだその疑問を、私の隣でベッドに仰向けになってスマホを弄っている男に問いかけると、「11月じゃね」と言われた。
気温を聞いてるのに季節で返すなよと思いつつも、正直人間って気温でどうこう言われるより時期で言われた方がぴんとくるよなと納得もする。
「あーでも、夜に外出る時は全然いけんじゃね」
「夜寒いよねえ。いつ毛布出す」
「12月」
「11月までタオルケットで過ごせそう?」
「毎日やって寝ればきもちーし暑いし最高。え? おれって頭いい」
「いやぁでも朝がなぁ。あんたは布団全部取るからわかんないかもだけど、私けっこう寒いんだよ」
「だからおまえ朝いつもくっついて来てんのか」
「そーだよ」
「なんそれかわいいじゃん」
全然心籠ってないそれに返事をするように仰向けになっている男とスマホの間に入り込む。
そんな私にふっと軽く笑った男は、スマホを閉じて枕元に放りなげると首に手を回してホールドしてきた。慣れた柔らかな香りがする。居心地は悪くない。