悪いコの味方!
真篠くんはくくく…っと肩を震わせて笑ってる。笑う時ちょっと背中をまるくして、隠すようにするのは印象的だ。
いやいや笑う要素ゼロだったでしょう。突然近いてきて自信満々にキスしてこようとしてくるなんて、とんだ最低野郎。もうただのおサル。
ついでにみゆたんのことも言おう。わたしの友達もっと大事にしてよって。
あ…でも中に美人な先輩がいるんだ。新しいカノジョなら、他の女の子の話は自分がいる前ではされたくないよね。また今度にしようかな。
なんて思っていたらドアが開いて、しなやかな脚が出てきた。芸術品みたい。
「ましのーん、アタシ、萎えたから行くねー。…って、覗いてたのって木暮さんだったんだ」
「え、わたしのこと知ってるんですか!?」
「知ってるでしょふつう。ミスコン3位さん」
ひええ…わたしは1位のあなたの名前を知らないなんて口が裂けても言えない空気だ。
「あ、あれは1年のみんながおもしろおかしくするために投票しただけで先輩みたいに正規なものじゃないですよ」
「そうなの?ましのん」
去年は真篠くんと同じクラスじゃなかったから聞いても知らないと思う。みゆたんやマキマキたちが他のクラスの人にも声をかけてたみたいだから、知ってる人は知ってるのかもしれないけど。
ミスコンの話はあまりされたくないんだよなあ。あんなに大々的にされてるとも知らず、この先輩のように選ばれるために美的努力してる人がいるとも知らず、みんなが推してあげるーって言うのを喜んで出ちゃったから。
たぶん今年は出ないし、本来そんな器じゃない。