悪いコの味方!
ミスコンとかいって順位決めるのも好きじゃない。わたしはただ化粧とかおしゃれとか美容グッズが好きなだけ。
「さあ。まあ1年のほとんどがこいつに入れたみたいだけど、おれは知らね」
あ、やっぱり真篠くんは違う子に投票入れたんだ。
「ふーん。まあいいけど。じゃ、またねましのん」
ミディアムの長さに切られたふわふわの髪が揺れ、彼の顔を隠す。ひええ…見えなかったけど絶対キスした!
オトナな世界だなあ。校内でするのはどうかとは思うし女の子がな…な…萎えた、なんて言うのはおかしいとも思うけど、それ以上にうらやましいよ。
「あの美人さんは新しいカノジョなの?美脚だね。何のクリーム使ってるのか今度聞いておいてくださいな」
ほれぼれしてしまう。颯爽とした後ろ姿も、淡い水色の下着なことも。覇者は別格だなあ。
「へえ。おまえは町野先輩の名前覚えてないんだ」
「町野先輩って言うのかあ。美の暴力だったね」
「くくくっ…今度言っとくわ」
や、名前のことじゃなくて何のクリーム使ってるのか知りたがってることを言ってほしいんですけど。
そうだ。新しいカノジョだかなんだかは結局わからないけどいなくなったからみゆたんのことを言わなくちゃ。
「真篠くんに用があったの。別にあなたの生き方を否定するつもりはないんだけど、どうかみゆたんのことは泣かせないでくれるかな」
朝からわたしの家まで来て慰めを求めるなんて相当だ。頼られたことはうれしかったけど、やっぱり友人の悲しむ顔は見たくない。
その原因がわかってるなら除去したい。