悪いコの味方!
あ、そうだ。
「ねえどっちがいい?買ったけど時間なさそうだからひとつあげる。カツサンドは冷めてるかもしれないけど」
袋から冷めたそれとおかかおにぎりと菓子パンを出す。真篠くんの目は手の中にあるふたつを交互に見比べる。
「炭水化物しかねえじゃん」
「あ、昨日買ったサラダも持ってきてるよ」
「さっきの町野先輩なんて食事制限すげーやってやっとあの体型なのに、おまえのこれ見たら発狂しそうだな」
「食事制限…わたし絶対できない。すごいね!」
彼がため息をつく。すごいねって褒めたのにその態度はなんなんだ。何も悪いことは言ってないはず。
こっち、と指さされたのはおかかおにぎり。よかった、本当は冷めててもなんでもカツサンドが食べたかったんだ。だって好物だし。
はい、と渡す。真篠くんに食べられるおかかちゃんは幸せ者だね。
「そういえばまた髪色変えた?」
おかかちゃんを持ってる手と反対の方が髪を一束すくう。
自分が一気にご機嫌になっていくのを感じた。
「そうなの!昨日美容院に行ってね!見てよこんなに綺麗にむささきとピンクと茶色が混ざった感じになるとは思ってなかったからすっごいうれしいのー」
ブリーチはしたことがないから見せた画像みたいにはならないかもって美容師さんには言われていたけど、腕がよかったんだね。
遅刻をしたからまだみんなと話せてないというのもあるけど、気づいてもらえるとうれしい。真篠くんってすごい。今日最初の人。そういえば3ヶ月前、まだ別のクラスだった時も染めた次の日に気づいてくれたなあ。