悪いコの味方!
自惚れかな。
泣いてる女の子たちを見ては、この間言ったことを思い出す。『人を傷つけるのは虚しいって言いながらそれでもわかってて続けて、だめなことしてる自分は悪いコだから悪いコトしたってしょうがないしもう遅いって思ってるんでしょ。それは間違った甘えだよ』。
綺麗事を、信じてくれた?
悲しんでいる人がいるのに、わたしは何故か、信じてもらえたことがうれしいと思っている。
何様なんだろう。
放課後まで憂鬱な気持ちを引きずってそのまま家に帰ろうとしたら、道の途中でわすれ物をしていることに気がついて慌てて学校へ戻った。
バイトがない日でよかった。
そう思っていたら、下駄箱で真篠くんとちふちゃんがふたりきりで向き合っているところに遭遇して、すぐに物陰に隠れた。
隠れる必要ある?
わからない。声をかけたほうがよかったかもしれない。だって絶対大事な話をしている。
「…あたしとも別れるの?」
「……そのつもり」
ほら。
盗み聞きなんてしちゃだめだ。
帰ろう。帰ろうよ。
わかっているのに足が動いてくれない。
「なんで?ちゃんと理由が知りたい。あたしのこと好きじゃないからとかそんなわかり切ったことじゃなくて、べつのがあるんでしょ?」
自分からそんなふうに言うなんて、ちふちゃんは強い。
「今まで、縛り付けて、ごめん」
「…っちがう!そんな言葉が聞きたいんじゃない。ばかにしないでよ」
ちふちゃんが少し声を荒げた。
強くないよね。だって震えている。無理してる。