悪いコの味方!


足はやっと動いてくれて隠れていた身を出した。

ふたりがわたしに気付く。


「邪魔してごめん…でも、ちふちゃん、思ってないこと言っちゃだめだよ」


真篠くんだって本気にしないと思う。だけど、それでも傷つくと思う。

どうすることが正解なのかな。

ぜんぶ間違いで、正解なんてないのかも。


「わたしが口出しすることじゃないけど…放っておけなくて」


わすれ物なんてしなきゃよかった。

ふたりのことはふたりにしかわからない。お節介をやくならふたりが傷つく前にしたかった。できなかったくせに……きみが悲しむのは、嫌で。


どっちを庇いたいのかわからない。

どうして彼を庇いたいのかわからない。


味方だって言ったから?

じゃあ味方になりたい理由は何?



「彩夜架ちゃんに言われなくたってわかってるよ。今ましのんを傷つけただけだって」



ちふちゃんのこと、好きなのに。かわいいのに。


「むしろ傷つけたかったのに…本当邪魔」

「ごめ……」

「隠れて話聞いてるなら、もっと早く止めてくれたらよかったのに」


本当にそうだよね。言う通りだ。

だけど、真篠くんが、変わりたいなんて言うからびっくりして。なんだか、淋しくて。


心がばらばら。



「彩夜架ちゃんはいいよね。友達もいるしいつもましのんと楽しそうで……だけどそれってただ鈍感で無自覚なだけだよ」


泣きそうな目を向けてくる。

まるでばらばらな心を、繋ぎ合わせようとしてくるみたいに。

わたしよりずっと、わたしを知っているみたいに。


「それって……ちょっと罪だよ」


真篠くんにじゃない。わたしに、傷つけられたみたい。そんな表情で言い捨てて、ちふちゃんは帰ってしまった。

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